大雪でクルマ立ち往生、まずすべきことは 一酸化炭素、数分で致死量が充満のケースも
2018年2月、日本海側や北日本を中心に日本列島はしばしば大雪に見舞われ、車両の立往生が発生しています。もしもこのような状況に直面した際、ドライバーはどう行動すればよいのでしょうか。
福井県では60時間立ち往生も
2018年2月は、日本海側や北日本を中心にしばしば大雪となっています。福井県の国道8号では、6日から9日まで60時間以上にわたり、車両が立ち往生する事態に見舞われました。
降り方によっては、ものの数分でクルマ全体が雪に覆われてしまうことも。写真はイメージ(画像:opal1/123RF)。
国道8号のように多くのクルマが通る幹線国道はもちろん、たとえば山間部の道で天候が急激に悪化した場合なども、立ち往生する可能性があります。いざこのような状況に直面した場合、ドライバーはどのように行動すればよいのでしょうか。JAF(日本自動車連盟)に聞きました。
――立ち往生に直面した場合、あるいは立ち往生が見込まれる場合、どのような点に気を付ければよいでしょうか?
まず不要不急の外出を控えることが大切です。もしも外出中にそのような状況に見舞われた場合、可能な限りエンジンを停止して天候の回復を待つべきでしょう。
――エンジンをかけているのは危険でしょうか?
クルマが雪に埋もれた状態でエンジンをかけていると、(逃げ場を失った排気ガスが車内へ充満し)一酸化炭素中毒になる危険性があります。もしもエンジンをかける場合は、定期的にマフラー周りの除雪をすることが大切です。
窓開けだけじゃダメ 一酸化炭素中毒を防ぐ除雪の必要性
実際に、2月初旬の福井県における大雪では、雪に埋もれた車内での一酸化炭素中毒が原因とみられる死亡事故が複数件発生しています。
JAFが車内における一酸化炭素中毒の危険性と対策を検証したユーザーテストでは、2台のクルマのボンネット付近まで雪をかぶせエンジンをかけ、マフラー付近を除雪した場合と、「対策なし」の場合とを比較したところ、前者はほとんど車内に一酸化炭素が充満しなかったのに対し、後者は22分で一酸化炭素濃度が測定上限値である1000ppm(3時間ほどで死に至る濃度)まで達したそうです。
雪でマフラーが塞がれた状態でエンジンをかけると、排気ガスが車体の下を経て、外気の取り入れ口などから車内に入ってくる(画像:JAF)。
一方、マフラー付近の除雪をせず、「運転席の窓を5cm開ける」対策を検証した結果では、40分を超えて800ppm(2時間ほどで失神する濃度)まで上昇したといいます。
JAFはこのテスト結果から、「積雪の多いエリアへ出かけるときは、除雪用のスコップ、防寒着、毛布などを用意し、車内に留まる際には、できるだけエンジンを切るようにしましょう」としています。
【グラフ】約20分で致死量に! 車内の一酸化炭素濃度の推移
雪に埋もれたクルマでエンジンをかけた際、マフラーの除雪をせず閉め切ったままだと、車内の一酸化炭素濃度は急激に上昇する(画像:JAF)。