ドジャース・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

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ワールドシリーズ第7戦で炎上KO、元世界一右腕の見方とは…

 ドジャースダルビッシュ有投手は1日(日本時間2日)、3勝3敗で迎えたワールドシリーズ第7戦に先発し、1回2/3を5失点(自責4)で敗戦投手となった。世界一がかかった大一番で、同じ1回2/3を4失点で降板した第3戦に続く自己最短KO。その要因として、投球フォームなどの癖から相手に球種を読まれていた可能性があると指摘されているが、1988年のドジャース世界一に貢献した右腕で、現在は地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」のゲスト・アナリストを務めるティム・リアリー氏は「いずれにしても完璧な投球をする必要があった」と話している。

 ダルビッシュは初回、先頭スプリンガーに二塁打を浴びると、続くブレグマンは一ゴロも、一塁手ベリンジャーの送球ミスで適時失策に。わずか4球で先制点を奪われた。さらに、アルトゥーベの打席でブレグマンに三盗を許し、一ゴロの間に生還を許して初回に2失点目。最後はグリエルを右飛に仕留めたものの、主にスライダーをファウルにされ続け、13球目でようやく打ち取った。

 2回は先頭マッキャンに四球、ゴンザレスには右中間への二塁打を浴び、無死二、三塁。1死からピッチャーのマッカラーズJrを二ゴロに打ち取りながら、その間にマッキャンが生還。そして、続くスプリンガーにはフルカウントから直球を左中間スタンドに運ばれる2ランで5失点。ここで降板となった。

「ロサンゼルス・タイムズ」では試合後、リアリー氏がダルビッシュの投球を解説した記事を掲載。リアリー氏は1988年にキャリアハイの17勝を挙げ、世界一に貢献している。

 同氏はまず、アレックス・ロドリゲス氏もツイッターで「アストロズの打席のボディランゲージ、そして、ダルビッシュに対するアプローチから読み取る限り、彼(ダルビッシュ)はおそらく球種を読まれている。アストロズの打者はそこに付け込んだのだ」と指摘した“球種ばれ”疑惑について同調しつつ、それだけが理由ではないと分析している。

スプリンガーを迎えて続投の判断は…「監督はダルビッシュでいくしかなかった」

「初回にブレグマンが(盗塁で)三塁を陥れたところを見ても、彼の球種は読まれていたのだろう。走るにはうってつけのボールだという読みがあったのかもしれない。しかし、ダルビッシュは現在2球種で攻める投手であり、たとえアストロズが球種を読んでいたのだとしても、彼は完璧な投球をする必要があった。そしてアストロズ打線にも賛辞を送りたい。彼らはとても攻撃的なチームであった」

 直球とスライダーを軸とするダルビッシュ。しかも、ワールドシリーズでは「滑る」と言われたボールのせいか、スライダーの扱いに苦しんだ。この日の投球については、リアリー氏は「ダルビッシュは直球のコマンドが今ひとつだった。ストライクは取れていたが、決して質の高いストライクではなかった。変化球もシャープではなくキレに欠けていた」と、どちらの球種も本来の状態ではなかったと見ている。

 一方、ダルビッシュがスプリンガーに本塁打を浴びた場面については、交代が遅かったとの声も挙がった。デイブ・ロバーツ監督も記者会見で質問を受け、「後悔はしていない。あの時点を振り返ると、スプリンガーのホームランとゴンザレスの二塁打以外は強打されておらず、それ以外では、エラーや盗塁、ボテボテのゴロだった」と振り返っているが、リアリー氏も同じ見方のようだ。

「いや、監督はダルビッシュでいくしかなかった。2回は2者連続でゴロアウトを奪えていたし、ブルペンをあそこまで早く投入したくはなかったのだろう」

 さらに、この試合3番手で登板した登板したカーショーを中1日で初めから先発させるべきだったとの意見には「それはGMに聞くべき質問だ。ドジャースは明確な理由とともにダルビッシュをトレードで獲得した。投げさせないためにトレードをしたわけではない。単純に苦しんでいたんだ」と、こちらも間違っていなかったと振り返っている。

 大舞台で炎上し、世界一を逃したという事実は消せない。ただ、ダルビッシュ自身は責任を受け止めながらも「なんですかね…ホントにワールドシリーズでやり返したいじゃないけど、そういうの(気持ち)がもっと出てくると思うので、そういうチャンスのある球団がベストですけど…自分はドジャースでやり返したいです」と前を向いた。“敗因”を追求し、叶えられなかった世界一の夢へと向かって、再び歩き始めることになる。(Full-Count編集部)