仕事と競技を両立させる。なぜラクロッサーは社会で活躍できる存在に?
「始発で練習とか当たり前!」
「チームメイトだけでなく関わっている人全員が友達!」
そんな風に、明るく笑顔でみんなが異口同音に語るスポーツをご存知だろうか。それが、バスケット、ソフトボール、サッカー、剣道など各スポーツ出身者がこぞって集う「ラクロス」だ。
なぜ、ラクロスを始めるのか。
なぜ、学生でラクロスをすることが人間形成においてプラスなのか。
なぜ、社会人になってもラクロスを続けるのか。
今回は東日本クラブチームラクロスリーグ戦にて上位3チームに属している各々のキャプテンに来て頂き、彼女達の「ラクロス」を存分に語って頂いた。
チームを率いる者ゆえの悩み
宮沢:今回は、東日本クラブチームNeO、Fusion、Mistralの3キャプテンに来ていただきました。進行はFusionの宮沢が務めさせて頂きます。よろしくお願いします。
それでは、自己紹介をお願いします。
大石:NeOの大石陽子と申します。2014年設立のNeo1期生です。ポジションはボトム。法政大学出身です。職場は名古屋で酒類メーカーにて営業をしています。
(#59 大石陽子さん)
小堀:Mistralの小堀優子です。ミストラルでは18期です。ポジションはホームです。アタックの方ですね。学習院大学出身で普段は茶道の先生をしています。仕事もラクロスも全力で楽しんでいます。よろしくお願いします。
(#2 小堀優子さん)
堀田:Fusionの堀田ひかるです。フュージョンの9期です。今年からキャプテンになりました。ポジションはミディです。普段はスポーツメーカーで働いています。
(#31 堀田ひかるさん)
宮沢:Fusionの宮沢明日香です。それでは始めさせて頂きます。今回のキャプテン3名は26歳から28歳まで、年が近い3人です。いきなりですが「キャプテン」という立場についてお聞きしたいと思います。キャプテンってどうですか?
小堀:楽しいです。それに尽きますね。毎年課題があるからそれを解決していくプロセスが楽しいです。今年のチームは新たなチャレンジで監督を初めて入れました。スポーツドクターの辻先生です。普通のスポーツ界でいう監督って戦術やメンバー決定が役割として1番大きいんですが、辻先生には「心」の部分を強くしてもらっています。
キャプテンって、与えられた場所で花を開かせる環境づくりが大事だと思うんです。ベンチにいる人でも、サポートしている人でも、試合に出ていない人でも、出来ることがある。それをしっかりと気づかせ伝えることが、一番大事な仕事だと思っています。
宮沢:ひかるはどう?
堀田:いや、私そもそもキャプテンキャラじゃないんです。強いていうなら一生懸命な平社員みたいな感じで。大学の時もキャプテンだったのですが引っ張るタイプではないのでやっぱり向いてないなと大学の時に思い、今後やることはないだろうと油断していたら、まさかの今シーズン(笑)。でも、周りに支えられてなんとか勉強しながらやらせてもらっています。
宮沢:補足すると、Fusionはみんなで投票して名前が挙がった人の中で話し合いをして決めます。本人は思ってなかったかもしれないですけど今年の主将はひかるだって暗黙の了解でしたね。チームも本人も成長するための一番最善の選択だと思っています。これからのさらなる成長に期待ですね。
小堀:そうなんだ!ウチのチームは主体性を求めるところから始まるので、主将も他の幹部も全部自薦からです。そこから話し合った後全員の投票を受けて決まります。
宮沢:陽子も今年からだよね。どう?キャプテンは。
大石:始まる前は「引き受けてしまったーー!」という感じでした。私自身にネームバリューあるわけではないので、「誰やねん!」と思われるのではないかと悩んだこともあります(笑)。
その時チームメイトが「大事なのはネームバリューじゃない。陽子が思ったことをやってくれれば良い」と言ってくれて、心が軽くなりました。学生の時は自分がやらなきゃ、負けたら自分のせいだ。みたいに思っていましたが、NeOは一体感があるのでキャプテンという立場を楽しみながら全うしている最中です。
宮沢:キャプテンなりの悩みとかはないですか
小堀:無限にありますよ日々(笑)考え方の違いなんかは育ち方、学校の違い、年齢の違いによってたくさんありますし。ただ、それをしっかり聞いた上で全員が前に進める方法を考えるのは楽しいです。それに、結局結果が出ると一気に全員やる気出ますしね。
大石:結構個人的なのですが、仕事で部署異動が思わぬタイミングであったので、迷惑をかけたところはあると思います。ふいうちで予想外のことが起きる、《社会人あるある》かもしれません。
キャプテンなのにやるべきことが思うように出来ず自己嫌悪というか…。
「時間配分」は今も課題ですね。週末名古屋から出てくる生活をしているので、時間を上手に使える人間にならないといけないと思っています。
宮沢:具体的な解決方法はあるの?
大石:金曜夜出て、月曜朝一帰る。というルーチンは出来てきたので、チームメイトを頼ることですかね。
表では見えないところで、組織幹部の副将や主務がものすごく動いてくれていて支えられています。 他にも係がたくさんあってそれぞれが主体的に動いているのがNeOのいいところです。
キャプテンにとって重要なのはコミュニケーション
宮沢:チームメイトを頼るのは大事だよね。
大石:はい。頼る。ということを覚えて大分楽になりました。さらに欲を言えば、プライベートでも頼る人が欲しい。そういう意味では「恋愛」があればさらに充実すると思っています。あ、これは私だけでなくNeOの課題です(数人を除く)。
宮沢:充実するけど、もっと忙しくなるでしょ。
大石:ラクロスと仕事の2つばかりしていたら、気付いたら社会人になってから彼氏いないんです。 NeOに入ったら彼氏出来ないんじゃ…?と思われてしまったら困ります(笑)。 この記事に私のLINE IDとか載せておいて頂くこと可能ですか?(笑)
宮沢:いけます??・・・出来ないらしいので、皆さんNeOの#59を見にいってください。でも、名古屋にいて週末移動だと彼氏と金曜日に飲みに行く時間はないでしょう。ちなみに、どんな人がいいの(笑)。
大石:力持ち。白米よく食べてよく動いてよく寝る人。該当する方、是非試合観にきてください。該当する方、是非試合観にきてください。
一同:(笑)
宮沢:キャプテンはコミュニケーション。要は人と人を繋ぐのもやらないといけない。そこに関してはみんなどうですか。例えばチームで揉めた時。私がキャプテンだった時は誰を抑えたら誰が納得するか。と人のバランス、立ち位置を考えながら動いていました。
小堀:さすが営業。私たちはやはり出身大学によって考え方も育ち方も違うから、伝え方は気をつけるようにしているかな。
大石:私たちはみんな「ラクロス始めたばかり?」ってくらい好奇心旺盛で、真面目だけど基本楽観的です。ラクロス楽しい!が前提にあるので、そのベースからの会話があるからそこまで揉めるとかは無いですね。
宮沢:確かにラクロス愛はNeoが1番感じる。
大石:ただ何にでも興味津々な分、すごく大きくいうとどの立場の人でもベクトルがずれないように、同じ方向に向かうようにしたいなとは思っています。そこは意識していますね。
宮沢:それこそ、社会人×ラクロスをする人はほぼ社会人として職場に出ていると思います。会社とラクロスの両立。という意味ではみんなどうですか。
小堀:遠州流茶道としてお茶のお仕事をさせて頂いている中で、仕事とラクロスの両立を認めて頂いていることは親に心から感謝しています。私がラクロスを自由にできているのは会社の理解があるからなので。家族、会社、恋人、友人の応援に支えられて今があります。
堀田:仕事はやっと5年目にして社会人とラクロスの両立も慣れてきました。仕事でやっていることとFusionの活動が仕事に生きることがとても多いんです。説明の仕方、提案の仕方もチームの中で行うプレゼンや反省から上達することも多々あるんです。個人的にはもっと職場の方にFusionそしてラクロスの活動を応援してもらえるにはどうしたらいいかを考えながら日々やっています。
ラクロス部が就職に強い理由
宮沢:次の質問です。よく新聞記事とかニュースとか就職上場企業とか就職ランキングとかで上位にラクロスがノミネートされたり、人事の人もラクロスを推している増えている。ラクロスが就職に生きたと思ったことはありますか?
大石:ラクロスって、ほとんどの人が新しいスポーツに自ら飛び込んでいく感じだと思います。それだけでもチャレンジなんですが、朝のスタート=5時はよくある話だし、まだまだ他の部活と比べると認められていない部も多いので、グラウンドも自分たちで探します。お金に余裕が無いことも多いです。そんな状況でも、ラクロスを続けたくて、4年間各々が主体性を持って動きます。この経験が、いざ社会人になった際に役立つのだと思います。
学生時代は無意識にやっていることですが、今思えばラクロス部だからこそ経験出来ることってたくさんあります。
まとめると、当たり前に頑張る人がいっぱいいるんです。
宮沢:陽子は、第一志望に受かったの?就職活動は。
大石:はい。今働いているところでした。
宮沢:他にいくつ受けたの?
大石:最終的に行きたいと思ったのは5社ぐらいですけど、エントリーシートは30社ぐらい出して、途中で辞退させて頂いたものもありますが内定を頂いたのは3社でした。
宮沢:就職活動で困ったとかはなかった?
大石:リーグ戦が被ると本当に大変です。時期の問題を強く感じたことはありますね。
宮沢:ひかるは?
堀田:そもそも話すことが苦手だったので、面接は苦痛でした。ただ、ラクロスがよかったなと思う要素はたくさんあって、違う大学に1人で練習へ行っても受け入れてくれる大学さんがたくさんあるんです。ひらけた環境の中で学外のいろんな人に出会い、接することが出来る環境はとても勉強になりましたね。
小堀:普通ない。学校を超えて、学生と社会人の枠を超えて、どんどん練習もする。ラクロスの輪って本当に素敵だと思います。
堀田:それがラクロスの一番良いところだと思っています。さらには、自分たちでメニュー考えたり年間計画を考えたり、それこそ学生のうちから幹部など役割があるところは、会社とやっていること同じなのかなと思いますね。1つの目標に対して逆算して考えていくんです。さらにラクロスは全員が試合に出れるわけではないんです。100人を超えるような人数がいるチームもある中で、自分の役割を見つけてそれを全うする。4年生でも自らが試合に出るのでなく、下の子の育成担当になる子もいるし、最後の4年の夏をAチームが試合で勝つためにだけに懸命に動く子もいます。自分のポジションを見つけてそこで頑張れる子が多い。というラクロスをもっと知ってもらいたいですね。ラクロスって、試合1つとっても裏で様々なストーリーがあり、いろんなところで花が咲いているんです。
宮沢:それぞれのストーリーがあるよね。ひかるは就職活動どこを受けたの?
堀田:私は食品、スポーツ、医療機器の3軸でした。エントリーシートは30ぐらい送って20ぐらい通って面接を受けたんですけどラクロスに夢中すぎて手がつかなかったですね(笑)でも、最終的に今のところに入れてスポーツに関われる仕事が出来て良かったです。そもそも、明日香さん(宮沢)はどうだったんですか?
宮沢:私も今いる酒類メーカーに早々内定をいただけました。世の中の体育会の主将の子って商社とか銀行とかを受けるのですが、私自身は一切商社も銀行も興味がなくて行きたいところだけ受けます。と言って現職に決めました。ラクロスは面白くて、試合に出ていたとかはまったく関係ないんです。Bチームで四年間を全うした子や選手ではなかった子が大手商事や大手広告代理店に内定を決めていました。自分で意思を持って考えて組織で頑張っている子たちだからこそ、希望の会社に就職しているというのがあるのだと思います。
宮沢:それでは最後に今年のチームの目標と感触を教えてください。
堀田:目標は日本一ですが、ここ2年間全日本選手権まで進みながらも、一昨年は学生に勝ち切れなかった。去年はNeoに負けてしまった。NeOには3回試合して3回とも勝てなかったです。
宮沢:練習試合も入れたら5回やって5回負けていますからね。余談です。
堀田:そうなんです。なので、リベンジしたいですよね。ただ、去年の段階で主力だった選手やここ2年間を支えてきた主力の方々がごっそり抜けてしまい、Fusionは今年から世代交代しながらシーズンが始まりました。チームを支える幹部も経験のない子たちで今までのフュージョンと新しいフュージョンが融合して日本一になれるチームを作っていきます。
小堀:私たちMistralも日本一を目指しています。みんなと一緒です。去年相当もどかしい思いをしましたので、3年目の今年は順風満帆に万全です。と言いたいのですが、出身大学の違いによる考え方の違いなどがぶつかる時期でもあり、ほぼ毎週ミーティングをして、1人1人の考え・知識をとにかく出して、その中から何を使っていこうかなとかいう風に洗っている段階はあります。
宮沢:世代交代はどのチームもぶつかる壁だからね。そんな中、まだまだ若いNeOはどうですか。
大石:NeOには元々ラクロスから世界へというスローガンがあって、それに対して今年の目標が色々あるんですけど、今年の目標は「結果は日本一、技術は世界一」です。
宮沢:技術は世界一というのは、アメリカを超えるということが目標?
大石:はい!世界で通用するラクロスがしたいという思いがあります。
代表メンバーもいますが、チーム全員が出来ないと駄目。
練習メニューは昨年からかなり変わったと思います。
トレーニングもハードになりました。技術幹部やトレーニング班を筆頭に、試行錯誤の日々です。
技術面の話に偏りがちですが、NeOは60人超メンバーがいて、練習や試合だけでなくラクロス界の発展という意味で地方に普及活動をしているメンバーもいます。勝つ方の勝ちと価値観の価値。「カチ」を大事にする1年にします。
宮沢:結果は日本一。というところで、学生についてはどう見ていますか?ここ最近は学生日本一が続いています。
大石:学生ってだんだんうまくなってくるんです。未完成の状態から試合経験を経て強くなっていく。なので、一番気合の入った12月とかに当たるから未知数な部分があります。今スカウティングしても絶対変わっているんですよ。ただ、当然今年は勝ちます。
小堀:今年はワールドゲームズとかがあって、日本代表とかを見ていても若いというか学生が日本代表になって活躍してるのを見ると、今ワールドゲームズ期間中で世界を相手に点を取ったりしてるからそれぞれの1人1人の勢いは強いなと思ってるし、私が学生の時よりも明らかに世界を意識したラクロスをしてると思います。
もちろんYouTubeとかでも外国人のプレーが見られるのもあるし、使わせていただいているTeamHubもですが本当に電子化が進んでいますよね。ミストラルとしても学生の体力や個のスピード、組織力、監督の采配にどう立ち向かうかを戦略立てて考えています。
宮沢:我らがFusionはどうですか?
堀田:学生と対戦した時に技術はさることながら、「フィジカル」で勝てないという反省をしました。ただ時間的にもフィジカルだけでの勝負は部が悪いので、それに変わる勝てる部分を考えています。
宮沢:是非、ラクロスという競技に興味を持って頂き、それぞれの立場の輝きや社会人 vs 学生という構図も楽しみにしていてください。本日はありがとうございました。
小堀・堀田・大石:ありがとうございました。
3チームも使っているラクロスアプリはこちら!
9/23からプレーオフが始まります。(9/15現在、3位がfusion 2位がMistral 1位がNeO となっています。)ぜひ皆さん、足をお運び下さい!
〜試合日程〜
9/23(土)@堀崎公園多目的グラウンド
10:30ドロー 1部3位vs4位
※オフィシャル1部2位
10/7(土)@フクダ電子
準決勝
10:00ドロー 1部2位vs9/23の勝者
※オフィシャル9/23の敗者
10/21(土)@駒沢第一
決勝!!&閉会式
試合時間未定 1部1位vs10/7の勝者
※オフィシャル10/7の敗者