人口の減少は経済規模の縮小に直結する問題だ。日本では少子化が長年にわたって問題視されているが、13億以上の人口を抱える中国においても近年見られる出生率の低迷が様々な分野に悪影響を及ぼす可能性があるとして、懸念の声があがっている。(イメージ写真提供:123RF)

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 人口の減少は経済規模の縮小に直結する問題だ。日本では少子化が長年にわたって問題視されているが、13億以上の人口を抱える中国においても近年見られる出生率の低迷が様々な分野に悪影響を及ぼす可能性があるとして、懸念の声があがっている。

 中国メディアの捜狐はこのほど、「中国人がだんだん子どもを産みたがらなくなっている」という記事を掲載し、出生率の低下ならびに人口の減少は中国が最も強みとする「規模の経済」を喪失させる可能性があると警鐘を鳴らした。

 記事は、インターネット関連の企業を例に、「人口が少ない国では世界に通用するネット関連企業は生まれにくい」とし、米国から世界に通用するネット関連企業が絶えず生まれるのは、世界中に英語を理解できる人がいるためであり、つまり世界が市場になるからだと指摘。同様に、中国のネット関連企業も中国語を理解する人が対象となるゆえに、莫大な人口を抱える中国でビジネスを展開することは、そのまま規模の経済を享受できることを意味すると論じた。

 一方、日本は人口が1億2000万人ほどしかいないため、日本語だけのサービスではどれだけ圧倒的なシェアを獲得してもすぐに頭打ちになってしまうと指摘。また人口が多ければ、比較的に容易に優秀なプログラマーやエンジニアを確保でき、巨大なマーケットから得られる情報も豊富にあるとし、中国の「人口の多さ」はビジネスや企業に有利に働き、世界の競争に参入するうえでの基礎になっていることを伝えた。

 しかし統計が示すように、中国では第二子の出産が解禁となっても出生率は思ったように伸びていないと指摘。都市部でも農村部でも、中国人女性は子どもを産みたがらなくなっているとし、日本も人口減少や高齢化の問題を抱えているが、記事は「中国はまだ日本ほどの発展を享受していないというのに、すでに労働人口の減少が始まっている」と指摘し、このまま少子高齢化が進展すれば中国には「恐ろしい将来が待っているかもしれない」と警鐘を鳴らした。

 一方、記事には中国人ネットユーザーから多くのコメントが寄せられており、「子をたくさん産めば教育費や住宅の負担も生じてくる」、「収入は増えないのに住宅価格は高騰している。普通の給与所得者はどうやって生きていけばいいのか」といった声が見られ、中国の普通の人びとにとっては、子どもは1人育てるのも精一杯という現状が垣間見えた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)