明学東村山vs都立両国
明学東村山・後藤
3月に入って、先週の対外試合解禁から、いよいよ球春到来。この日から、東京都では全国に先駆けて春季大会一次ブロック予選が始まった。まだ風は冷たく感じるところもあるが、春の日射しに包まれて府中工業高校グラウンドには熱心な保護者や関係者も多く詰めかけて賑わっていた。
明学東村山は、初回から都立両国の先発古澤君に対して積極的に向かっていって、先頭の手島君が右前打するとすかさず二塁盗塁。さらに茂木君のバントは内野安打となり、玉利君の一打も中前にポトリと落ちて、これが先制点。さらに、君島君の内野ゴロの間に三塁走者が帰って2点目。将司君も左前打でつなぐと、四球後に平岡君の犠飛。なおも、四球を挟んで、9番中村君も三遊間を破ってこの回いきなり5点というビッグイニングを作った。
2回にも、明学東村山は打者一巡、4番君島君の左中間二塁打や平岡君のタイムリーなどで4点。3回には、三番玉利君のランニング2ランも出て追加点。4回にも失策絡みでさらに3点を追加して一方的とした。
安打としては、ややつまり気味のポテンヒットなども多かったのだが、グラウンドの狭いうえに、他部との兼ね合いもあって外野守備などではフルに練習がやり切れていない都立両国は、野手の判断の甘さなどで安打にしてしまうという場面もあった。明学東村山としては、そこも巧みに突いていった形となった。
また投手陣も、明学東村山は先発左腕の後藤君がストレートと鋭く曲がる左腕独特のスライダーの切れもよく、都立両国打線を抑えていた。そして、4、5回は右の武藤君がリリーフして、大量リードにも支えられて無難に投げていた。明学東村山の熊谷政広監督としては、エースナンバーの澤柳 亮太郎君を使わないで戦えたということも、大きかったのではないだろうか。選手も、都合18人が出場。公式戦を通じて、いろいろ試すことが出来たということも価値があったと言えるであろう。
都立両国は、都立の中高一貫校となっているが、都立三中の流れを汲む名門校である。古くは、芥川龍之介なども卒業生となっている。錦糸町駅に近い繁華街の一角にあり、練習環境としては恵まれているとは言えない。それでも、それぞれの学校が、それぞれの環境の中で工夫しながら練習して試合に臨む、それもまた高校野球の姿である。大量リードされても、ひたむきに戦っていく都立両国の選手たちの姿を見ながら、そんなこともふと頭をよぎっていった。
(取材・写真=手束 仁)
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