2017年のインダストリ4.0が変わる4つのポイント

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工業IoT、あるいはIndustry 4.0にとって、2017年は大きな実現の年となるだろう。2016年、長年に渡る企業からスタートアップ企業に至るまでが、現場で長年存在し続けた問題を解決するためのソリューションを考える年となった。その狙いは効率性の向上、サプライチェーンの改善、廃棄物の削減、現場をより早く、より安全にというものだ。

相互接続性のためのエコシステム、ロボティックスやウェアラブル、3Dイメージング、ARやスマート出荷プロセスなどは進化を続けている最中である。それらについて見てみよう。

1. 工場のロボティクス


ロボティクスやオートメーションは、その誕生以来、大規模な現場で特徴的に見られるものであることから、工場や倉庫でのロボティクスといえばまず、従業員をろくな考えもなしに削減するものだと見られてきた。本来のロボティクス活用は、生産性を向上させ、生産における骨の折れる役割を軽減し、サプライチェーンを改善し廃棄物を削減させるものである。

たとえば、InVia Roboticsを挙げよう。2016年、製品から梱包までのするロボティクスシステムが世界で初めて誕生した。これは、eコマースプロバイダや倉庫における原材料の取り扱いから発送までのオペレーションを変える。CEOのリオール・エラザリーは、次のように説明する。

「eコマースは活発だが、リテールは消費者からの価格面での圧力やより早い商品到着までの期待、倉庫従業員の調達ができないなどの理由から、その需要についていくのに苦しんでいる。ここ数十年、人が製品を取り扱うモデルが圧倒的だったが、いまでは倉庫内のロボットにより倉庫内の製品は自動的に仕分けされ、最終目的地までより早く安価に送られるようになった。ロボティクスはオートメーションにおける次の革命であり、この利点を活かすことでより多くの企業が競争力を維持できるようになり、業界および経済にプラスの影響を及ぼすだろう。」

同じ取り組みを英国のOcadoも実施している。同社は、世界最大のオンライン取引のみの食品小売であり、英国世帯の70%にサービスの提供が可能で週辺りの発注は20万件ある。彼らはロボティクス/オートメーションを作業員と平行させて活用するパイオニアだ。2016年にSecondHandsとSomaと提携し、稼働するロボットの方からプロアクティブなメンテナンスを依頼できる機能づくりにも取り組んでいる。

今後、さまざまな現場でロボティクスの継続的な活用が見られるようになるだろう。Amazonに至っては、最高のピッキング用ロボットを作ることを目的とするAmazon Robotics Challengeを毎年開催している。ロボットが我々から仕事を奪う日も近いだろうが、同時に我々の役目も変わろうとしているのかもしれない。

2. 3DとARが労働者の重要なツールになる

ThyssenKruppは、2016年、同社が世界的に展開しているエレベータサービスにMicrosoftのHoloLensを利用し始めた。現在、世界のエレベータサービス業界の年間価値換算は440億ドルで、毎日1200万台のエレベータが10億人の人々を運んでいる。

Microsoft HoloLensは、初のWindows10が動く自己完結的なウェアラブルホログラフィックコンピュータだ。携帯やPCへ接続する必要がない。HoloLensは自分の周りにホログラムを出現させ、世界の新しい見方を提供してくれ、ThyssenKruppが抱える24000人のサービスマンたちが安全かつ効率的に業務を遂行するサポートをしてくれる。

HoloLensにより、サービスマンたちは作業を始める前に問題を可視化・特定することができ、現場からリモートでハンズフリーに技術的な情報にアクセスすることも可能だ。その結果、時間とストレスの削減に大きな結果を残した。最初の現場でのトライアルで、すでにメンテナンス作業が4倍早くなったことが明らかになっている。

イスラエルの企業 Vayyarは、今年Walabotの工業版およびDIY版をリリースした。これはスマートフォンをパワフルな3Dイメージングシステムに変えるものだ。これを使って、たとえば壁の裏の配管をスマートフォンの画面に表示させることなどができる。Begalなどのデジタル巻尺デバイスは、赤外線を使ってこれまでの巻尺では取り回しが悪いような場面での計測を簡単にし、プラットフォームによる計測の記録やボイスメモなどを活用し筆記用具の必要をなくしている。

3. ウェアラブルによって現場がより効率的かつ安全に

2016年は、ウェアラブルがさまざまな現場でリアルタイムにデータを提供することに成熟を見せた年であった。ドイツのスタートアップ企業 ProGloveは、製造業やロジスティックのスタッフがより早く安全、かつ容易に業務を遂行するためのセンサー付きスマートグローブを開発した。作業手順はハンズフリーでドキュメント化され、ユーザへのフィードバックも即座におこなうことができる。

これの用途として、製品のハンズフリーでのスキャニングや、一連の作業工程のトレーニング、部品に対する正しい工具の選定、製品や工程のドキュメント化が挙げられる。BMWでは、このグローブを使って両手にものを持ちながらスキャニングもこれまで以上に素早く実施できるようになった。これで節約できる時間は毎回数秒ではあるものの、BMWは全体で1日66時間の節約になっていると見積もっている。

労働者の監視と保安のため、ウェアラブルはますます先進的な使われ方をしている。North Star Bluescope Steelは、オーストラリア、ニュージーランド、北米の建設業界向けに鉄鋼の生産をおこなっているが、IBMと協力してWatsonを利用したコグニティブコンピューティングプラットフォームを用いて、危険な環境で働く労働者の安全を守ろうとしている。

IBM Employee Wellness and Safety Solutionは、ヘルメットやリストバンドに組み込まれたセンサーからのデータを集め分析することで、身体が危険に晒されたり安全手続きが守られていない場合は労働者やそのマネージャーにアラートをリアルタイムで送り、事故の発生を予防する。

4. 運輸業の効率が上がる

2016年は、IoTが運輸業やサプライチェーン、貨物輸送業など、業務の全体的な見通しが悪く書類の手続きが繁雑で、規制も複雑、ぼったくりのような価格設定、予想できない遅延が当たり前・・・といった業界に変革をもたらした年でもあった。

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貨物輸送業者のFlexportではこれまでの貨物管理を、顧客から発送依頼や予約、貨物のトラッキングができるシンプルなオンラインアプリに置き換えた。これは、製品データの管理やサプライチェーンの可視化、アナリティクスの確認など、すべてリアルタイムでおこなうことができる。

かたやCargoChainでは、RFIDチップとBlockchainを使った貨物の運輸に取り組んでいる。これにより輸送の状況をリアルタイムで捉えることができ、取引先との信頼関係も向上する。たとえば、輸出入業者たちは条件付き支払いのために信頼性のない第三者預託システムを使っても、銀行や保険会社は変更しようのないデータを追加で取得することで迷いなくサービスを提供でき、税関は輸送の流れを証明可能な形で取得することで、貨物をより早く通すことが可能となる。

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ここで述べられているものの他に、進化を続けるスマートグリッドも2016年に注目を集めた。相互可用性、安全監視、分散技術などの観点から、これはIIoTの一部をなすものになるだろうIndustry4.0の現実が見えてくるにつけその需要は高まる一方であり、2017年にはさらなる成長を見ることになるだろう。

CATE LAWRENCE
[原文4]