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育児休暇中にふたり目の妊娠が判明。ふたり目の産休や育休、給付金はどうなるの? そんな疑問について、弁護士の鳴海裕子さんに答えてもらいました。

○そのままふたり目の産休に入れる場合も

まず、産休と育休の制度のおさらいです。産休(産前休業と産後休業の総称)は労働基準法により、出産予定の女性に対して与えられる休業制度です。産前(出産予定日および出産日を含む)は6週間前から女性が請求すれば休業することができます。産後(出産日の翌日から)は8週間(ママの申し出があり医師のOKが出れば6週間に短縮可)は、会社がママを休ませなければならないと決まっています(労働基準法第65条)。

育休は、こどもが満1歳になるまでの間、パパとママ双方が取得可能な休業制度です(育児・介護休業法参照)。法定の休業期間は原則として子供が満1歳になるまでの1年間ですが、両親ともに育児休業する場合(パパ・ママ育休プラス)は満1歳2カ月まで取得可能です。もっとも、これは法律に規定された最低期間なので、会社によっては、これらの法律の規定を上回って育休を法定期間以上に付与できる就業規則を設けている場合もあります。

従って、ひとり目の育休取得中にふたり目の妊娠が判明した場合、会社の規定で育休を多くとれる場合には、会社に対して育休の延長申請をするか、会社が特段の規定を置いていない場合にはひとり目の産後休暇と育児休暇を最大限取得して、ふたり目の出産予定日次第ではそのままふたり目の産前休暇を申請できる場合があります。

なお、産休や育休はあくまでも法律により休む権利や休ませる義務を定めたものであるため、給与については規定されていません。よって、会社の就業規則等で特段の定めがない限り、給料は支払われませんので注意しましょう。

○手当・給付金は大きく3つ

次にお金の問題ですが、出産育児関連の手当・給付金としては(1)出産育児一時金、(2)出産手当金、(3)育児休業給付金が代表的です。

まず、(1)出産育児一時金は、健康保険に加入または被扶養者である場合で、妊娠4カ月以上で出産し人を対象として、子どもひとりにつき原則42万円が支給される制度です、第一子出産後の育休中であるかどうかに関わらず、第二子についても給付を受けることができます。

次に(2)出産手当金は、健康保険に加入している労働者が、産休中に給与が支払われない場合等に基準日額の3分の2の額を休んだ日数分もらえる制度です。産休に付随する制度ですので、ふたり目でも産休期間はこの手当金の給付があります。

○ふたり目の育児休業給付金は条件が変わる

最後に(3)育児休業給付金は、雇用保険に加入している労働者が育休中で収入が得られない場合に、子供が1歳になるまで(特別な理由がある場合は1歳6カ月まで)、原則として休業開始時の給料の50%を支給されるもので、産休育休で収入がない時には大きな励みになる制度です。もっとも、出産前に1年以上給与が発生する稼働をしていることが要件となります。

では、ひとり目の育休中にふたり目の妊娠が判明した場合はどうなのでしょうか。出産前に1年以上働いていることが条件となっているため、ふたり目については給付を受けられないのでは? と不安になりますよね。しかしこの場合、育休開始日の前日からさかのぼって2年の間に11日以上給与が発生する日がある月が12カ月以上ある場合には、ふたり目についても当該給付金が支給されることになっています。

これらの制度の特徴をしっかり踏まえて、ふたり目についても賢く給付金を受け取りたいものですね。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

○筆者プロフィール: 鳴海裕子

アディーレ法律事務所所属。札幌大学法学部卒業、北海道大学法科大学院修了。東京弁護士会所属。女性が法的トラブルに巻き込まれる機会が増えてきている今日、女性にしか分からない問題や、男性には話しにくい問題を解決し、女性の社会進出をサポートするため弁護士として職務に励んでいる。『特盛! よしもと 今田・八光のおしゃべりジャングル』(読売テレビ)に出演。

(アディーレ法律事務所編)