社会人としてしっかり押さえておきたいのが、年末年始のご挨拶のマナー。昨今はメールを利用することも多いですよね。そこで今回は、無料メルマガ『仕事美人のメール作法』の著者でオフィスのマナーに詳しい神垣あゆみさんに、失礼にならないメールの文面ややってしまいがちな間違いについて詳しくお聞きしてみました。

年末のあいさつ

年末が近づくと仕事納めの前に、客先や取引先へのあいさつ回りを行う会社が多いと思います。相手のところへ足を運び、直接会ってあいさつをするのが基本ですが、相手の不在や都合で対面できないこともあります。

そんなときは会社に戻ってから

ご不在の時に伺ってしまい、失礼いたしました。

今年も大変お世話になり、ありがとうございます。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

と連絡を入れておくとよいでしょう。相手が忙しくしていて、十分にあいさつができなったという場合は、「ご不在の時」の代わりに「ご多用中に」「おとりこみ中に」として連絡を。

感謝の言葉は「ありがとうございました」と過去形にせず「ありがとうございます」と敢えて現在形にしたのは、これまでの感謝で終わりにするのではなく、今そしてこれからのお付き合いを願う気持ちを込めたからです。

年末のあいさつの主旨は、1年の感謝を相手に伝えることです。長々と言葉を飾り立てずともお世話になったお礼をまっすぐに伝え、新たな気持ちで次の年のお付き合いへの心構えを持つことが大切ではないでしょうか。

新年のあいさつ

すでに年賀状の準備に追われている会社も多いと思います。

年賀状のやり取りを廃止するところも増えていますが、メールで年始のあいさつをするような場合にも気をつけておくことがあります。「新年明けましておめでとうございます」という表記です。

最も一般的な年始のあいさつと思われがちですが、「明けまして」の前に「新年」を付けると重言になってしまいます。「明ける」は新年になることを意味するので「明けまして」で始める場合は意味が重なる「新年」を用いるのは避けます。

「明けましておめでとうございます」とするか、「新年」を使って挨拶をする場合は

「新年おめでとうございます」

「謹んで新年のごあいさつを申しあげます」

といった一文をお薦めします。

「謹賀新年 明けましておめでとうございます」という一文も祝いの言葉が2つ続くことになるので注意を。メールの場合は書き出しを「謹賀新年」とするよりは、「明けましておめでとうございます」とする方がふさわしいと考えます。

1年の初めに、あらたまった気持ちを伝えるあいさつが年賀状です。メールで新年のあいさつをする場合も相手に対して「新たな年を迎える喜びを祝う」のが主旨なので、相手のことより自分の都合や予定、目標を前面に出すのは控えましょう。

相手への返礼

年末年始のあいさつをメールで受け取った場合、返信する際のキーワードは「こちらこそ」です。上で述べた、直接対面してあいさつできなかった場合の返信の例を挙げると……

ご足労いただきましたのに、

不在にして(たてこんで)おり、心苦しい限りです。

こちらこそお世話になり、ありがとうございます。

来年も引き続きよろしくお願いいたします。

2行目の「心苦しい限りです」は「失礼いたいました」「恐縮です」としてもいでしょう。あるいは

せっかくお越しいただきましたのに

こちらこそ不在にしており、失礼いたしました。

お気にかけていただき、ありがとうございます。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

このように不在の非礼に「こちらこそ」を付ける言い方もあります。

相手からの年始のあいさつメールへの返信としては

明けましておめでとうございます。

こちらこそ、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

このように返礼にも「こちらこそ」を添えるとよいでしょう。相手あっての自分であることに感謝し、「お互いさま」「おかげさま」という気持ちを返礼に添えて伝えたいものです。

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『仕事美人のメール作法』

著者/神垣あゆみ

広島を拠点に活動するフリーランスのライター。若手ビジネスマン向けにメールマナーの基本を解説した『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など著作多数。

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出典元:まぐまぐニュース!