『5億から史上最大90%減の杉内俊哉』

 1998年、松坂大輔(ソフトバンク)を擁する横浜高校は、並み居る強豪校をねじ伏せ春夏連覇。甲子園を沸かせた松坂を筆頭に、同学年の球児たちが続々とプロへ進み、いつしか彼らを称して松坂世代と呼ばれるようになった。

 総勢94名。そんな松坂世代は、いまや36歳というベテランの域に達し、今年戦力外通告を受けた選手は、新垣渚や久保裕也(DeNA)ら、6名を数えた。

「来季も現役でプレーする松坂世代は18人。野手よりも選手生命の短い投手が8人と、多く残っているのが特徴です。なかでも、最大の『勝ち組』は和田毅でしょう。日本球界復帰1年めの今季15勝5敗で最多勝、勝率.750と2タイトルを獲得。3年12億円の高額契約に見合う活躍を見せました」(球界関係者)

 ほかに藤川球児(阪神)、村田修一(巨人)ら勝ち組もいるが、一方で、来季を背水の陣で迎える松坂世代も多い。

 4月に5度めの右肘手術を受けた館山昌平(ヤクルト)は、今季わずか1勝、防御率は自己ワーストの7・24。現状維持の1億2000万円の更改だったが、年俸変動制の契約ゆえに、来季も“お荷物”となれば大幅減は免れない。

 プロ15年めにして、初めて一軍登板なしの杉内俊哉は、一昨年4億5000万円の大幅減額が話題となったが、現状維持の5000万円。

 FAでオリックス移籍後、2年続けて怪我に泣いた小谷野栄一は、7000万円でサインし、3年契約の最終年は、野球人生を懸けたシーズンとなる。

 25年ぶりのリーグ制覇に沸いた広島だが、松坂世代の2人は蚊帳の外。かつての守護神・永川勝浩は、成長著しい中崎翔太にクローザーの座を奪われ、930万円減の3700万円。

 梵英心(そよぎえいしん)にいたっては、プロ11年めで初のノーヒットに終わり、5000万減の4000万円。

 大谷翔平フィーバーで日本一に輝いた日本ハム。代打の切り札として期待された矢野謙次だったが、若手の台頭により出場機会が激減。わずか6安打で、1000万円減の4000万円と厳冬更改。

 そして、最後に本家本元は……。

「一昨年、3年12億円と破格すぎる条件で日本球界に復帰したが、いまだ勝ち星はゼロ。松坂本人の強い意向で、今月下旬までプエルトリコで武者修行に励むというが、球団スタッフはほとんど関心を示してない」(スポーツ紙記者)

 36歳の松坂世代の“生存率”は、いまや19%。プロ野球の平均引退年齢は29歳といわれるが、かつて「最強世代」と称された男たちが、いよいよ崖っぷちに立たされている。

(週刊FLASH 2016年12月20日号)