研究が示すフィットネストラッカーの利点より大きな害悪とは
フィットネストラッカーを使ってみて、その結果にがっかりしたのはあなただけではない。先日、「フィットネストラッカーは減量を達成する妨げにもなりかねない」という論説が、米国医師会ジャーナルで発表された。
2010-2014年の間に行われた調査がある。471名(調査の完了率は74.5%)のランダムに選ばれた対象は2つのグループに分けられ、1つのグループは1日の運動を普通に記録してもらい、もう1つのグループは自分で記録する代わりにトラッカーを使ってもらった。
今回の調査対象者は、まず全員が低カロリーダイエットをおこない、ピッツバーグ大学 運動体重管理センターによりアクティブな生活を奨励された。そんな調査の結果は驚くものであった。フィットネストラッカーを使って自動的に記録をとっていたグループは、普通に記録をとっていたグループより体重が減っていなかったのだ。
調査のサマリーは次の通りである。
25-40歳の若い成人層の場合、ウェアラブルが普段の生活習慣に与える影響により、24ヶ月間の体重の減少が少なくなる結果となった。運動量のモニタリングおよびフィードバックをおこなうデバイスがもたらす利点は、標準的な減量アプローチに勝るものではないのかも知れない。
フィットネストラッカーは歩数のほか、さまざまなアクティビティをトラッキングし、それを見直せる形で記録する。今回の結果から考えられる答えとして、運動の結果をきっちり確認できることは、それを続ける励みになると同時にカロリー摂取の増加の口実にもなっているのかもしれない、ということだ。
言ってしまえば、ダメな生活習慣なら何をやろうが一緒なのである。
ウェアラブルから電子体重計など多くをカバーするフィットネストラッキングデバイスの雄 FitbitにAllureが接触した。Fitbitの反応は以下のようなものだった。
米国医師会ジャーナルに掲載されたピッツバーグ大の研究ではFitbitのデバイスやアプリは使われておらず、彼らの特定の発見について我々が言うことは何もない。また、ウェアラブルカテゴリーのリーダーである点からも、我々はFitbotプラットフォームが肯定的な結果をもたらすことに自信を持っている。
様々な研究で用いられているフィットネストラッカー
Fitbitはまた商品が基本的な運動や生活習慣、健康測定など200以上の研究で使われているという。
フィットネストラッカーはかなりの人数に利用されている。我々RWですら科学的ではないものの、フィットネストラッカーと健康的な食事が肯定的な結果を残すという実験をおこなったことがある。フィットネストラッカーの利用で体重は減るのだ。
だが、これらデバイスを健康的な習慣を支えるものとして使いだすと話がややこしくなる。被験者のグループの体重はどちらも減っており、増加、あるいは変化なしというものは誰一人いなかった。片方のグループは体重の減りが若干多かったが、今回の研究でわかったことは結局、「両グループの被験者はどちらも体組成、運動量、生活習慣に大きな向上が見られた。両グループ間の結果に大きな差は認められない」というところだろう。
なんとも人騒がせな調査結果だと思う人もいるかもしれないが、ツールを手に入れたからといって無条件で目的が達成されるわけではない、ということを我々人間は忘れがちだ。そして、ただ忘れるだけでなく、数字や結果といった事実を自分にとって都合のいいように解釈し始めることがある。
今回の騒動は、人間のちょっと不思議で可愛らしい部分を明らかにしたのだとも言えるだろう。なにはともあれ、教訓の1つとして胸に留めておきたいものである。
ReadWrite[日本版] 編集部
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