IoTに対するROI過剰説が浮上、企業のIoT導入実例が示すのは希望か否か
これまでIoTについては、将来の大きな利益の源泉だとばかり取り上げられてきたが、近頃、その投資に対する見返り(Return on Investment, ROI)が過剰なものではないかという懸念が持たれ出している。
IDGのARNetの記事では、Current Analysisによる「IoTを取り巻く異常に高い期待」について述べられたレポートを取り上げている。そこでは、「ROIがパッとしないいくつかの事例が企業のIoT導入の妨げになっている」という。
IoTとデータアナリティクスがM&Aの大きな波であるというニュースが報じられるなか、このレポートは発表された。この技術のROIに対する高い見込みもその原因だろう。
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調査によると、多くの企業はIoTが生み出す利益について、“過剰で短期的な”見込みをもっているとのことだ。調査対象のうち50%以上が、IoT導入による見返りは一年以内に得られると考えている。
Current Analysisの上級副社長 ジェリー・カロン氏は次のように述べる。「多くの企業が予測している、IoTを導入することによって元を取れるようになるまでにかかるだろう期間、というのはびっくりするほど短い。だが、同時にこれはIoTが企業にとって絵空事ではなく真面目に考えなければならないものになってきている、ということを示している。企業というものは、役目を十分に果たせない費用対効果の低いプロジェクトについて寛容な心をもたないし、IoTプロジェクトを投機的なギャンブルにしたくないと考えている。」
企業がIoTプロジェクトを断念する一番の理由はコストの懸念であり、そのほか導入に踏み切るだけの使い道が思いつかないということや、セキュリティ上の不安などもプロジェクトを見送る大きな原因となっている。
結局IoTの「コストパフォーマンス」が気になる企業たち
調査からわかった興味深いことがある。アンケート対象となった企業の間でセキュリティ上の不安は十分認識されているにも関わらず、彼らの多くはすでにIoTのプラニング段階に入っているという。セキュリティを守る仕組みを持たずに、だ。
だが、これもカロン氏からすれば、すべては「IoTが企業が考えているような利益を生み出せるかどうか」という点に帰結するという。
「プロジェクトが正当化されるかどうかは、限られた時間内にROIの目標を達成できるかどうかにかかってくる。これはつまり、アンケート対象の50%はIoTが目標を一年以内に達成することを望んでいる、ということでもある。多くのプロジェクトにとって、これはあまりに楽観的、もしくは非現実的な見込みだが」と、彼は言う。
このようにIoTが生み出す利益の見込みは過剰であることが多いものの、一方で多くのケースにおいて実際にその過剰な見込みを上回ることもあったと述べられている。
また、そもそも例の数が少ないが、IoT技術を導入した企業の70%近くは、「プロジェクトがROI目標を達成した」と答えている。期待が過剰すぎるのではないかという声もアンケートにより明らかになった事実も、続々と企業のIoT導入を支援するサービスやテクノロジーが登場していることも確かだ。
遅かれ早かれ、どの企業にも“来るべき時”は訪れるものだ。それまでに十分な準備をしていたかどうかが決め手であり、いざその機会と対峙したときに頭と組織をやわらかくできていたならば、よい未来が見えてくるだろう。
ReadWrite[日本版] 編集部
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