首都圏の大手私鉄と都営地下鉄など10社が、朝の通勤ラッシュ時間帯に女性専用車両を導入して9日で1カ月。昨年に過去最悪の2201件あった電車内の痴漢対策をはじめとする防犯対策だが、利用者の反応はどうなのか。声を聞いてみた。

 小田急線は新宿行きの急行、快速急行23本の最後尾車両に導入。同社は試験運行でなく完全導入しており、看板やアナウンスで案内している。女性車両から降りてきた会社員の女性(34)は「男性も(痴漢と)間違えられなくて済むし、女性側も心配がなくて安心。それに女性は体型が細いので座席にゆったり座れる」と気持ちの上でのメリットを話した。ただ、「女性しかいないからと言って、車内で化粧したりする人がいるのはやめてほしい」と苦言も。

 女性車両の停車位置とは別の位置で電車待ちをしていたSEの女性(25)は「乗車区間が短いので特に乗ろうとは思わない。でも、満員電車で知らない人とくっつくのはいやだから、もっと長い区間だったら乗るかも」と話していた。

 別のホームで電車を待っていた会社役員の男性は「勘違いされなくていいのでは」。半面、「男女同権の流れに少し逆行するとも言えるが、互いのモラルの問題でもあり難しい。そういう変な境界線がないのが自然でいいんだけど」と分析していた。

 地下鉄半蔵門線で試験導入している東京メトロには、1カ月で約90件の意見、要望が寄せられた。総論として賛成、反対ではなく、「他の路線にも導入する予定あるか」「女性車両の運行時間が長すぎる」などの内容で、今後も利用者の声を聞きながら、試験運行の継続、路線の拡大などを検討していくという。【了】