夏です！　夏といえば浴衣もいいけど水着もね！ということで、海に行くと女性たちの水着姿がまぶしい季節です。そして水着といえば、グラビアアイドル。でも、この「グラビア」って、いったいいつからスタートしたのでしょうか？　今回はそんなお話です。


※写真はイメージです



雑誌の表紙で、水着を着てにっこりほほ笑む魅力的な女性。
「グラビア」と呼ばれる写真を楽しみにしている男性も多いのではないでしょうか。
今では当たり前の文化ですが、すべてのことに「はじめて」はあります。
今回は、日本で初の「グラビア写真」についてのお話です。

現代まで残っている大正時代の1枚の写真。
うっとりとした目で寝そべった女性が、片肘をついてこちらを見ているものです。
姿は水着でこそないものの、無造作に流れた髪がなんともセクシーで、これは紛れもないグラビア。
この写真が日本で最初のグラビア写真「洗い髪のお妻（つま）」だと言われています。

東京・新橋の芸妓である「お妻」が、撮影現場へ出かけるときに、洗った髪を結う時間がなくなり、仕方なく髪を結わずに撮ったものであるというこの写真。
実は、当時「髪を結わない」というのは、とてもはしたないことでした。
今でいうとノーメイク、いえそれ以上に下着や普段着で撮られることと同じような感覚かもしれません。

それなのに、この写真はカメラマンもお妻自身もどこかノリノリ。
偶然撮られたものというよりも「結えなかった髪、普段は秘められた女性の魅力を全面的に出そう」という挑戦的な雰囲気に溢れています。
そしてその試みが成功し、時代を超えたなんとも妖艶で美しい1枚に仕上がっているのです。

芸妓さんの写真はたくさん残っていますが、それはすべて、いかにも「宣材写真」といったもの。
ですが、「洗い髪のお妻」だけは一風違った雰囲気をかもしだしています。
まさに、日本のグラビアがスタートした瞬間です。

当時のタブーに挑んだこの写真。
カルチャーはいつだって、こうしたきっかけで始まるのかもしれません。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「洗い髪のお妻」として、8月3日に放送しました。

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＜番組概要＞
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