夏といえば花火大会！　ちらほらと、各地で花火大会が始まってきましたね。これまで江戸時代の花火大会のお話は何度かしてきましたが、今回は、「明治元年」に行われた、東京・隅田川花火大会のお話です。


※写真はイメージです



江戸の夏と言えば、花火大会。
両国で花火を見ながら川遊びをするのが、江戸っ子の夏の定番です。
ですが、時代背景によっては花火どころではない場合も。
幕末の動乱期は、さすがにお休みをしていました。

文久3年以降お休みしていた東京・隅田川の花火。
再開したのは、文明開化前夜の明治元年のことでした。
新しい時代の始まりと共に鳴り響く久しぶりの花火。
多くの見物人が押し寄せ、屋形船4隻、屋根船400隻、小舟150隻が水面を埋めたといいます。
この年に初めて西洋花火も導入され、それはそれは大盛況となりました。

徐々に盛り上がっていく明治期の花火大会。こうした明治初期の花火を観ていたのが来日していたアメリカの動物学者、エドワード・シルヴェスター・モース。
その盛況ぶりを、こんなふうに語っています。

「広い川は、提灯で照らされた舟で完全におおわれている。
川の向こう岸では、橋に近く光輝燦然たる花火が打ち上げられていた。
……近くに寄ってみると、10人ばかりの裸体の男が、大きな舟に乗って羅馬蝋燭（ローマろうそく）を発射したり、複雑な性質の花火を仕掛けたりしている。
光に輝く男たちの身体には花火が雨と降り注ぎ、ふりかえると、花火の光輝に照らされた舟の群れが水に浮かんで上下し、新月は徐々に沈み、星は稀に見る光を放って輝き、川はすべての大きさと色彩との、何万という提灯の光を反射しながらも、なお暗く、舟の動揺によって幾条もの小川に別たれている。」

聞いているだけで、その美しく豪華な情景が浮かんでくる文章です。
また、当時の新聞には「見物にて押倒されるものあり、転ぶものあり、家々には人が充満し」と書かれているので、その混雑具合も大変なものだったよう。

今年の東京・隅田川花火大会は、7月30日の土曜日（実施予定）。
日本の伝統的な夏の過ごし方、満喫してくださいね。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「明治の花火大会」として、7月28日に放送しました。

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＜番組概要＞
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