マーリンズ・イチロー【写真:Getty Images】

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イチローはなぜ「唯一無二」の存在なのか―、米誌が検証

 メジャー通算3000安打という史上30人目、さらには通算3000安打&500盗塁という史上7人目の偉業を射程内に入れたマーリンズのイチロー外野手。第4の外野手という立場ながら着実に安打を重ねる姿は、日米両国で称賛の的になっている。打てて走れて守れる。三拍子そろったスーパースターについて、米野球専門紙「ベースボール・アメリカ」電子版では「唯一無二の存在、イチローを称える」と題した特集記事を組み、その凄さを検証している。

 日本で9シーズンを戦った後、27歳だった2001年にメジャー移籍を果たしたイチローは、この日2安打し、メジャー通算3000安打まで残り「4」とした。これまでメジャー史上29人がこの金字塔に達しているが、初安打した年齢を見るとその中でイチローが一番高齢だという。イチローの次に高い年齢で初安打をマークしたのはウェイド・ボッグス(レッドソックス)だが、それでも23歳10か月の頃だった。

 迫り来る3000安打に加え、2001年の新人王&MVPの同時受賞、10年連続200安打、首位打者2度など、すでに数々の功績を打ち立てたベテランの殿堂入りは確実と見られている。

 記事では、殿堂入りを後押しする心強いデータを紹介。3000安打を達成した29人のうち殿堂入りしていないのは、野球賭博で永久追放となったピート・ローズ、ステロイド使用疑惑の濃いラファエル・パルメイロ、殿堂入り資格が発生していないデレク・ジーター、現役続行中のアレックス・ロドリゲスの4人だけだとか。イチローが将来殿堂入りすることは、ほぼ間違いない。

日本球界の安打数を低く見積もって通算安打数は驚異的

 イチローが残した功績は一点の曇りもないものばかりだが、唯一物議を醸したのが“日米通算4257安打”の意味だった。日本で記録した1278安打とメジャーでの2979安打との合算で、ローズのメジャー最多安打記録を抜いたわけだが、記事では「一般的にスカウトは日本球界と3Aと同レベルと見ている」ことを考慮。そこで、イチローが日本で過ごした9年分の安打数を25パーセント減、50パーセント減で計算し、“イチローが20歳でメジャーデビューしていたら達したであろう安打数”を割り出している。

 25パーセント減で計算した場合、日本での1278安打は959安打に目減りするため、デビューから3959安打を打っていたことになる。メジャー史を彩る安打記録を見てみると、この数字を上回るのはローズ(4256本)とタイ・カッブ(4189本)の2人だけだ。

 さらに厳しく50パーセント減で計算した場合、日本での1278安打は639安打まで減少し、合計3639安打を記録したであろう計算になるが、これでもローズ、カッブに加え、ハンク・アーロン(3771安打)が上位に来るのみ。イチローはスタン・ミュージアル(3630本)を抜いて歴代4位。ローズに並ばないまでも、やはり素晴らしい数字であることには変わりない。

 それでは、なぜイチローは「唯一無二」の存在なのか。

走攻守と三拍子揃ったイチロー、データ比較も似たタイプは見つからず

 記事では「Baseball-Reference.com」を参照すると、データ上でイチローに似た選手として上げられているのは、ザック・ウィート、フレッド・クラーク、ハリー・フーパー、マックス・キャリー、ウィリー・キーラーなど、1919年以前の本塁打が少なかった「デッドボール時代」の選手ばかりであることを指摘。打てて走れて守れるイチローのような選手は、現代野球ではほとんど見当たらない、としている。

 さらに、イチローは極端に単打が多いことも特長だ。記事によれば、1947年にジャッキー・ロビンソンが初の黒人メジャーリーガーとなって以降に殿堂入りした野手と比較しても、通算単打数では誰よりもイチローが上回るそうだ(7月21日現在、2442単打)。

 また長打率から打率を引いて純粋に打者のパワーだけを抽出するIsoP値を見てみると、イチローは.091だったという。この数値を下回る、つまりイチローよりパワーのない打者は殿堂入り選手の中で、オジー・スミス(.066)とルイス・アパリシオ(.081)だけだったそうだ。だが、守備とスピードで知られた2人は揃って生涯打率.262とイチローより低く、決して似た存在とはいえない。

 打撃練習では見る者を驚かせるパワーを披露するが、いざ試合が始まれば安打量産に徹するイチロー。打てて守れて走れる。イチローのように本当の意味で三拍子揃った選手は、メジャーの長い歴史を紐解いても見つからないようだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count