20代の“つながり”のスタンスは「“広く浅く”より“狭く深く”」。大谷大学地域連携室調べ
20代のコミュニケーションツールの利用実態を探るため、全国の20〜29歳の男女1,000名(全回答者)に、≪音声通話≫、≪メール≫、≪テキストチャット(LINEなど)≫の利用頻度を調査した。
≪音声通話≫については、「1か月に1回未満」(24.7%)が最多となったが、それを除くと、「2〜3日に1回程度」(15.5%)、「1週間に1回程度」(18.9%)に回答が集まった。≪メール≫については、同じく「1か月に1回未満」(29.5%)が最多となったが、それを除くと、「1日に3回以上」(17.6%)、「1日に1〜2回」(16.6%)に回答が集まり、合計すると『1日に1回以上』は34.2%となった。≪テキストチャット≫については、「1日に3回以上」が41.8%、「1日に1〜2回」が13.7%で、『1日に1回以上』は55.5%と半数を超えた。通話よりも文字によるコミュニケーションのほうが頻度は高く、さらには、数年前まで主流だったメールより、テキストチャットによるコミュニケーションのほうが多く利用されていることが確認できた。
続いて、全回答者(1,000名)に、日頃、情報を得るために利用しているメディアについて聞いたところ、≪ニュース・報道の情報≫や≪トレンドの情報≫では、「テレビ」(ニュース・報道79.5%、トレンド64.7%)が2位の「SNS・ソーシャルメディア」(同53.1%、48.2%)に10ポイント以上の差をつけている。ニュースや流行といった世の中の大きな動きについては、主にテレビを介して情報を得ているようだ。他方、≪評判の良いイベント≫、≪地域に密着した情報≫では、「テレビ」(評判の良いイベント35.3%、地域に密着した情報37.7%)と「SNS・ソーシャルメディア」(同33.2%、29.0%)の差は他の項目ほど大きくはなかった。イベントの情報や地域の情報の収集においては、SNS・ソーシャルメディアが、テレビに匹敵する重要なツールとして利用されている様子が窺えた。
SNSが普及し、いまやクリックやタップひとつで、様々な情報をシェアしたり、会ったこともない人と“友達”になったりすることが可能な時代になった。そこで、20代のSNS上でのつながりに関する意識と実態を探るべく、質問を行った。
まず、SNSへの投稿・書き込みの頻度について聞いたところ、「1日に3回以上」が12.0%、「1日に1〜2回」が11.1%で、合計すると『1日に1回以上』は23.1%となり、約4人に1人が、毎日何らかの投稿やコメントをしていることが明らかになった。
続いて、SNSでの“いいね”やシェアの頻度について聞いたところ、「1日に3回以上」が12.3%、「1日に1〜2回」が11.9%で、『1日に1回以上』は24.2%となり、こちらも、4人に1人が、毎日“いいね”やシェアをして、誰かの投稿に対する共感を示していることが分かった。
全回答者(1,000名)に、SNSを通じて知り合いになった人がいるか聞いたところ、「いる」は44.7%、「いない」は55.3%となった。また、SNSを通じて知り合いを増やしたいと思うか聞いたところ、「思う」は38.6%、「思わない」は61.4%となった。
性年代別にみると、20代前半女性は、知り合いになった人が「いる」割合が55.5%、知り合いを増やしたいと「思う」割合が45.7%となり、いずれも他の層に比べて高くなった。
デジタルネイティブ世代には、デジタルな空間の中で新たなつながりを作ることに興味・関心を持つ方が少なくないことが分かった。特に20代前半女性は、興味・関心を持つ傾向が強いようだ。
SNSを通じて知り合いになった人がいる人(447名)に、知り合いになるきっかけは何だったか聞いたところ、「共通の趣味を通じて」が74.5%で際立って高くなった。SNSを通じた新たな出会いは、趣味がきっかけとなるケースが多いようだ。以下、「SNS上のゲームやアプリを通じて」(23.5%)、「参加したイベントに関する投稿を通じて」(22.1%)、「共通の友人を通じて」(20.4%)、「出身地や居住地に共通点があって」(18.6%)が2割前後で上位となった。
男女別にみると、「SNS上のゲームやアプリを通じて」(男性29.3%、女性19.1%)、「参加したイベントに関する投稿を通じて」(男性28.8%、女性17.2%)で、男性のほうが10ポイント以上高くなった。男性は女性に比べて、ゲーム・アプリやイベントをきっかけにSNS上でつながる方が多いようだ。
全回答者(1,000名)に、人付き合いに関するスタンスについて聞いたところ、≪人間関係は“広く浅く”より“狭く深く”作っていきたい≫では、「あてはまる」が54.7%となり、人間関係において広さより深さを求める傾向がみられた。また、≪食事や遊びなどは、誘うより誘われるほうが良い≫では、「あてはまる」が57.6%となった。食事や遊びなどは“待ち”の姿勢を好む方のほうが多いようだ。
男女別にみても、≪人間関係は“広く浅く”より“狭く深く”作っていきたい≫、≪食事や遊びなどは、誘うより誘われるほうが良い≫ともに、男女間で「あてはまる」の割合に大きな差はみられなかった(前者:男性51.4%、女性58.0%、後者:男性56.2%、女性59.0%)。人間関係は狭く深く形成したい、お誘いは“待ち”の姿勢でいたい、という考えは、男女共通のようだ。
身近な人とのつながりに関する実態として、ご近所付き合いや、職場での人付き合いに関する現在の状況と、理想的な状況について質問した。
まず、全回答者(1,000名)に、ご近所付き合いに関する現在の状況を聞いたところ、「全く交流がない」が39.0%、「顔を合わせたらあいさつや世間話をする」が55.1%、「地域のイベントなどでは行動を共にする」が3.0%、「一緒に食事したり遊びに出かけたりする」が2.9%となりました。会えば世間話程度はするという方が半数を超えたものの、全く交流がないという方も4割と決して少なくないことが分かった。
続いて、ご近所付き合いに関する理想的な状況を聞いたところ、「全く交流がない」が19.6%、「顔を合わせたらあいさつや世間話をする」が60.1%、「地域のイベントなどでは行動を共にする」が13.4%、「一緒に食事したり遊びに出かけたりする」が6.9%となった。
現在の状況と理想的な状況のギャップについてみると、『今よりも仲を深めたい』と考えている割合は35.5%となった。3人に1人以上が、今よりも近所の方との仲を深めたいと考えていることが明らかになった。
次に、有職者(639名)に、職場での人付き合いに関する現在の状況を聞いたところ、「業務上必要最低限の会話はする」が24.1%、「業務とは関係ない会話もする(プライベートなことなど)」が53.8%、「仕事終わりに一緒に食事したり遊びに出かけたりする」が15.5%、「休日も一緒に食事したり遊びに出かけたりする」が6.6%となった。
続いて、職場での人付き合いに関する理想的な状況を聞いたところ、「業務上必要最低限の会話はする」が19.1%、「業務とは関係ない会話もする(プライベートなことなど)」が39.4%、「仕事終わりに一緒に食事したり遊びに出かけたりする」が29.6%、「休日も一緒に食事したり遊びに出かけたりする」が11.9%となった。アフターファイブに一緒に食事や遊びに出かけたいと考えている方が3割、休日も一緒に過ごしたいと考えている人が1割強という結果となった。
現在の状況と理想的な状況のギャップについてみると、『今よりも仲を深めたい』とする割合は31.9%となった。3割強の方が、職場の人との交流を深めたいと考えているようだ。
全回答者(1,000名)に、SNSの投稿を通じて社会的課題に関心を持ったことがあるか聞いたところ、「ある」が37.9%となった。20代にとって、SNSが社会的課題に対して関心を持つきっかけになる、というケースが少なくないことが明らかになった。
では、20代は、どのような社会的課題に関心があるのだろうか。地域でのボランティア活動や、近年注目されることの多いテーマに関する質問を通じて、20代がどのような社会的課題に関心を持っているのかを探ってみた。
全回答者(1,000名)に、現在住んでいる街・地域に対するボランティア活動に関心があるか、ある場合はその内容について聞いた。
最多回答は「地域の伝統行事・お祭りなどの運営・スタッフ」(21.7%)で、次いで、「美化(ゴミ拾いや清掃活動、植樹、花壇の世話など)」(18.7%)、「子どもの世話・遊び相手」(16.2%)、「地域活性化イベントの企画・運営」(16.0%)が続きました。また、住んでいる街・地域に対するボランティア活動に何らかの関心がある割合は46.8%となった。
同様に、実際に取り組んだことがあるボランティア活動についても聞いたところ、最多回答は「美化」で約5人に1人の割合(18.6%)となり、次いで、「地域の伝統行事・お祭りなどの運営・スタッフ」が1割(10.9%)、「地域活性化イベントの企画・運営」(7.1%)や「子どもの世話・遊び相手」(6.9%)は1割未満となった。また、何らかのボランティア活動に取り組んだことがある割合は34.8%(※)となり、“ボランティア活動に何らかの関心がある”割合よりも12.0ポイント低い結果となった。地域に対するボランティアへの関心を行動に移すまでの間に、何かハードルがあるのかもしれない。
住んでいる街・地域に対するボランティア活動に関心がありながら、実際に取り組んだことがない方(196名)に、関心がありながら取り組みをしないのはどのようなことが理由か聞いたところ、「きっかけがないから」が4人に3人の割合(74.5%)で際立って高くなった。また、次いで高かったのは「始め方がわからないから(地域でまだ誰も取り組んでいない、既に活動している人たちの連絡先がわからない、など)」で、4割半(44.9%)となりました。20代がボランティア活動への関心を実際の行動に移すためには、活動を始めるためのきっかけを得やすい仕組み・環境を作ることが重要なポイントとなりそうだ。
全回答者(1,000名)に、近年注目されることの多いテーマのうち、どのようなことに関心があるか聞いた。
上位3項目は「少子化」(34.4%)、「地域間格差」(32.9%)、「災害被災地支援」(30.9%)でいずれも3割台、次いで「子育てに関する問題」(25.0%)、「生活破たん・貧困問題」(24.8%)、「非正規雇用の増加」(24.3%)が2割半で続いた。また、何らかの問題に関心がある割合は76.3%となった。
男女別にみると、「子育てに関する問題」(男性15.2%、女性34.8%)では、女性のほうが男性より割合が高くなった。子育てに関する問題を解決することが、女性がより活き活きと活躍できる社会の実現につながると言われているためか、まだ子育てに携わっていない方も多いはずの20代女性でも、関心を持っている方が3人に1人の割合となりました。子育てに関する問題については、女性のほうが、若くして当事者意識を持っている方が多いようだ。
全回答者(1,000名)に、課題の発見・解決に関する意識について聞いたところ、≪何が課題なのか発見することが得意である≫では「あてはまる」が22.4%、≪課題解決のためには積極的に議論したい≫では「あてはまる」が35.1%で、課題発見力に自信がある人が5人に1人以上、課題解決のためなら意見をぶつけ合うことをいとわないという意志の強い方が3人に1人以上の割合となった。
最後に、社会のために役立つ人になりたいと思うか聞いたところ、「思う」が49.9%で、20代の半数が、社会に貢献できる人になりたいと回答した。
就業状況別にみると、学生では、「思う」が3人に2人の割合(66.5%)となった。学生の多くが、社会貢献に意欲的であることが分かった。
デジタルネイティブ世代が、人や社会とつながりたいという思いを持ちながらも、その糸口をつかめずにいる様子が窺える調査結果となった。彼ら彼女らが持つ課題発見力や課題解決に向けた意志の強さ、社会への貢献意欲を活かすには、コミュニケーションや情報収集に活用されているテキストチャットやSNSといったツールを上手く活用して、地域や社会とつながるための糸口を増やしていくことが重要になってくるのではないだろうか。
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