奮闘を見せている高卒新人野手の開幕1か月の状況を振り返る!
プロ野球の開幕から1か月が経った。ここで昨年指名された高卒新人の1か月の状況を振り返っていきたい。まずは昨年、野手豊作年だったということで、高卒野手の成績を振り返っていきたい。成績調べると、やはり出場数が多いことに気付く。高卒投手はケガをしないように大事に育てる、高卒野手は鉄は熱いうちに打てと言わんばかりに、どんどん出場させて、実戦感覚を身に付けさせていきたいという考えではないだろうか。※5月1日 現在の成績
今年の高卒新人野手で最も成績を残しているのが、千葉ロッテドラフト1位の平沢 大河(仙台育英出身<関連記事>)である。一軍出場はないが、現在、イースタン・リーグ9位となる打率.298を記録。さらに3本塁打、18打点、長打率.476と、とても高卒新人野手とは思えない成績を残しているのだ。ただ平沢は高校時代から打撃の完成度が群を抜いており、木製バットへの順応は早いとみていたのでこの成績にはあまり驚きはない。課題は守備だが、25試合に出場し、5失策とやや多い数字か。このあたりの安定感をどこまで高められるかも一軍昇格へのポイントになると言える。
さらにイースタン・リーグで規定打席に到達している野手は、東京ヤクルト2位の廣岡 大志(智辯学園出身<関連記事>)、北海道日本ハム4位の平沼 翔太(敦賀気比出身<関連記事>)、横浜DeNA6位の青柳 昴樹(大阪桐蔭出身)の3人だ。
廣岡は、31試合に出場して打率.220、1本塁打、12打点とまずまずの成績。球団の期待に応えているといってもよく、あとは5月以降でどれだけ数字を伸ばすことができるか。将来のレギュラー候補として飛躍の足掛かりとなる1年にしたいところ。
平沼はプロ入り後、投手から野手に転向。32試合に出場して、打率.219、1打点とまだ本塁打は1本もないが、自慢の野球センスの高さ、向上心の高さで奮闘を見せている。現在は三塁手、遊撃手での出場が続いている平沼。まずこの1か月、どこまで数字を伸ばすことができるか注目をしていきたい。
青柳は強肩強打のプレースタイルを高く評価された大型外野手だ。ドラフト6位と下位とはいえ、34試合出場は横浜DeNA二軍首脳陣に高く期待されているといえる。打率.143だが、1本塁打、10打点となかなか打点が多いのが特徴だ。この経験が糧となるか。
[page_break:多くの選手が打率1割〜2割台 対応力強化が課題か]多くの選手が打率1割〜2割台 対応力強化が課題かオコエ 瑠偉(東北楽天ゴールデンイーグルス)高卒新人でただ1人開幕一軍、さらに一軍試合出場を果たしている東北楽天1位のオコエ 瑠偉(関東一出身<関連記事>)は4月3日の埼玉西武戦で初スタメンを果たしたが、一軍では11試合に出場して7打数0安打と悔しい結果に終わり、二軍落ち。二軍では10試合に出場し、28打数7安打、1本塁打2打点、打率.250とまずまずの滑り出し。外野守備、走塁は高く評価されているオコエが再び一軍への切符をつかむには、走攻守すべてにおいての成長が必要だろう。ここから二軍で、格の違いを見せていきたい。
規定打席には到達していないが、横浜DeNAの育成で入団した山本 武白志(九州国際大付出身)も、22試合に出場。課題となる対応力を磨き、自慢の長打力を発揮で出来る技術を身に付けたいところ。埼玉西武ドラフト4位・大瀧 愛斗(花咲徳栄出身<関連記事>)はやはり走攻守の総合力が高い外野手ということでかなりチャンスを与えられており、すでに28試合に出場している。規定打席には到達していないが、1本塁打、5打点。打率は.160とまだ低く、今後どこまで高めることができるか。昨年、原 嵩とともに甲子園出場を果たした東京ヤクルト6位の渡辺 大樹(専大松戸出身)は18試合に出場しているが、こちらも打率1割台と対応力の向上が課題となりそうだ。
強打の外野手として昨夏甲子園出場を果たした北海道日本ハムドラフト8位の姫野 優也(大阪偕星学園出身)は25試合に出場して、打率.169、1本塁打、5打点。早くも初本塁打を打っているのは好材料だ。
福岡ソフトバンク入りした高卒野手は、二軍ではなく、三軍で公式戦出場している。その中でも6位の川瀬 晃(大分商出身)は出場は5試合だが、11打数3安打、打率.273とまずまずのアピールを見せている。
まだ開幕してから1か月ほどが経ったばかりだが、飛び抜けた成績を残しているのが平沢。また規定打席に到達しているのが平沢、平沼、廣岡、青柳で、今年の高卒野手はまずまずの滑り出しをしていると言えるだろう。今後どれだけの選手が数字を伸ばすことができるか?5月が終わって、成績の変化は見られるのか、注目をしていきたい。
(文=河嶋 宗一)
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