ドコモの料金プランが一歩リード? スマホの低料金プランから見えるキャリア3社の思惑を探る:週刊モバイル通信 石野純也
総務省のタスクフォースで出た結論を受け、キャリア大手3社が、低容量の料金プランを発表しました。とは言え、受け止め方は各社バラバラ。料金プランの内容も、それぞれ異なっています。ここでは、各社の低容量プランがどのようなものなのかを解説していきます。
年が明けて、真っ先に新料金を発表したのは、ソフトバンクでした。
同社は4月から開始する1GBの「データ定額パック」を発表。2900円で1GBの通信が可能になるというものです。総務省では5000円以下という目安も出ていましたが、これを満たすために、1回5分までと制限がついた代わりに料金が安い、「通話し放題ライトプラン」も組み合わせられるようになりました。こちらは1700円で、インターネット接続に必要な300円を加えると、ちょうど4900円になります。
1月7日に発表された、ソフトバンクの1GBプラン
これまで、通話し放題ライトプランは、5GB以上のデータ定額パックが必須になっていました。1GBのデータ定額パックはその原則に沿っておらず、なんとか5000円以下に収めるために出された、苦肉の策であることがうかがえます。
これに対して、ドコモは「家族で契約するとお得になる」という、他社から見るとやや変則的な手を繰り出してきました。元々ドコモは、新料金プラン開始時にシェアパックを導入し、家族でまとめて契約した方が安くなる方向に舵を切っていました。3月から導入する「シェアパック5」も、その延長線上にあります。
家族3人以上で使うと1人5000円以下になる「シェアパック5」
シェアパック5は月々6500円で、5GBのデータ使用量を家族と分け合えるプランのこと。このシェアパックと合わせて、1回5分までの通話が無料になる「カケホーダイライト」を、全シェアパックに開放します。これによって、たとえば2回線なら1万1000円、3回線なら1万3500円から回線を維持することが可能になります。2回線なら5500円、3回線なら4500円、4回線なら4000円、5回線なら3700円と、家族が増えれば増えるほどお得になる計算です(もちろん、そのぶん使えるデータ量は減りますが)。
最低10GBだったところに、5GBの「シェアパック5」が新設される
カケホーダイライトの対象シェアパックも拡大した
仮に夫婦2人と子ども3人の5人が契約し、それぞれ1GBずつ使ったとすると、1人辺りの料金は3700円。"1GBのプラン"という観点では、ドコモがダントツに安い計算になります。もちろん、ここまで都合よくドコモにまとめることは簡単ではありませんし、全員が1GBで済むとは限りません。シェアパックの場合、家族の誰かが使いすぎてしまうと、残りの人たちがそのあおりを受けるのもデメリットです。一方で、3人家族で使うと、料金は5000円を下回り、1人辺りのデータ量も1.66GBと、1GBプランより多めになります。家族の形にもよりますが、使い方によってはお得と言えるかもしれません。
また、ドコモ広報部によると、シェアパック5はドコモ光とのセット割の対象にもなるとのこと。セットで契約すると800円の割引になり、さらに料金は安くなります。「ずっとドコモ割」も適用され、ドコモの継続契約が10年以上だと600円、15年以上だと800円割り引かれるのも、他社の1GBプランにはない魅力と言えるでしょう。
2社の低容量プランを受け発表されたauの料金プランは、ソフトバンクのものに似ていますが、詳細は少々異なります。同社の「データ定額1」は1GBで2900円と、金額こそソフトバンクと同じですが、組み合わせられる通話のプランが、「スーパーカケホ」だけとなります。au以外の2社は、完全定額プランも選択できますが、auはスーパーカケホ専用のデータ定額パックという位置づけにしてきたのが、大きな違いです。
「Coming soon」としていた1GBプランを2月1日に発表した
とは言え、最安時の料金は4900円。auひかりなどとセットで契約して、「auスマートバリュー」を適用させると、2年間934円の割引が受けられるため、3966円まで料金が下がります。2年後は割引額が500円に落ち、料金は4400円まで上がります。
auのデータ定額1は、スーパーカケホのみが対象
3社の低容量料金を比べると、ドコモの独自性が際立っています。正直なところ、1カ月1GBしか使えないと、動画や音楽をダウンロードすればすぐに上限に達してしまうため、あまり実用的ではありません。最近では、Webに動画広告が埋め込まれていることもあり、かなり節約を意識しないと、スマホで1GB以下に抑えるのは困難です。
その意味で、auやソフトバンクのプランは、お試し的に使う人や、スマホを持っていてもほとんど外出先で使わない人に向けたものと言えるでしょう。ある意味、タスクフォースの出した結論に、忠実に従っている一方で、多様性がないとの指摘に「反省してマース」と表向き答えているだけのように見えなくもありません。ソフトバンクに関しては、「SoftBank光」での割引についても「未定」とのことで、詳細まで詰められていない様子がうかがえます。
これに対してドコモは、タスクフォースのお題をクリアしつつも、ある程度実用性を意識した料金設計をしてきました。家族でセットにするという条件はあるものの、同じ金額でも他社より使えるデータ量が多く、逆にデータ量を基準に見ると、料金は安くなります。政策課題だった低容量プランを、うまく利用し、ユーザーにアピールしてきたと言える内容になっているのではないでしょうか。また、家族で契約すると、個別にMNPするのが難しくなり、解約の抑止にもなります。こうした部分まで、よく練られているのが、ドコモのシェアパック5と言えるのかもしれません。
年が明けて、真っ先に新料金を発表したのは、ソフトバンクでした。
同社は4月から開始する1GBの「データ定額パック」を発表。2900円で1GBの通信が可能になるというものです。総務省では5000円以下という目安も出ていましたが、これを満たすために、1回5分までと制限がついた代わりに料金が安い、「通話し放題ライトプラン」も組み合わせられるようになりました。こちらは1700円で、インターネット接続に必要な300円を加えると、ちょうど4900円になります。
これまで、通話し放題ライトプランは、5GB以上のデータ定額パックが必須になっていました。1GBのデータ定額パックはその原則に沿っておらず、なんとか5000円以下に収めるために出された、苦肉の策であることがうかがえます。
これに対して、ドコモは「家族で契約するとお得になる」という、他社から見るとやや変則的な手を繰り出してきました。元々ドコモは、新料金プラン開始時にシェアパックを導入し、家族でまとめて契約した方が安くなる方向に舵を切っていました。3月から導入する「シェアパック5」も、その延長線上にあります。
家族3人以上で使うと1人5000円以下になる「シェアパック5」
シェアパック5は月々6500円で、5GBのデータ使用量を家族と分け合えるプランのこと。このシェアパックと合わせて、1回5分までの通話が無料になる「カケホーダイライト」を、全シェアパックに開放します。これによって、たとえば2回線なら1万1000円、3回線なら1万3500円から回線を維持することが可能になります。2回線なら5500円、3回線なら4500円、4回線なら4000円、5回線なら3700円と、家族が増えれば増えるほどお得になる計算です(もちろん、そのぶん使えるデータ量は減りますが)。
最低10GBだったところに、5GBの「シェアパック5」が新設される
カケホーダイライトの対象シェアパックも拡大した
仮に夫婦2人と子ども3人の5人が契約し、それぞれ1GBずつ使ったとすると、1人辺りの料金は3700円。"1GBのプラン"という観点では、ドコモがダントツに安い計算になります。もちろん、ここまで都合よくドコモにまとめることは簡単ではありませんし、全員が1GBで済むとは限りません。シェアパックの場合、家族の誰かが使いすぎてしまうと、残りの人たちがそのあおりを受けるのもデメリットです。一方で、3人家族で使うと、料金は5000円を下回り、1人辺りのデータ量も1.66GBと、1GBプランより多めになります。家族の形にもよりますが、使い方によってはお得と言えるかもしれません。
また、ドコモ広報部によると、シェアパック5はドコモ光とのセット割の対象にもなるとのこと。セットで契約すると800円の割引になり、さらに料金は安くなります。「ずっとドコモ割」も適用され、ドコモの継続契約が10年以上だと600円、15年以上だと800円割り引かれるのも、他社の1GBプランにはない魅力と言えるでしょう。
2社の低容量プランを受け発表されたauの料金プランは、ソフトバンクのものに似ていますが、詳細は少々異なります。同社の「データ定額1」は1GBで2900円と、金額こそソフトバンクと同じですが、組み合わせられる通話のプランが、「スーパーカケホ」だけとなります。au以外の2社は、完全定額プランも選択できますが、auはスーパーカケホ専用のデータ定額パックという位置づけにしてきたのが、大きな違いです。
「Coming soon」としていた1GBプランを2月1日に発表した
とは言え、最安時の料金は4900円。auひかりなどとセットで契約して、「auスマートバリュー」を適用させると、2年間934円の割引が受けられるため、3966円まで料金が下がります。2年後は割引額が500円に落ち、料金は4400円まで上がります。
auのデータ定額1は、スーパーカケホのみが対象
3社の低容量料金を比べると、ドコモの独自性が際立っています。正直なところ、1カ月1GBしか使えないと、動画や音楽をダウンロードすればすぐに上限に達してしまうため、あまり実用的ではありません。最近では、Webに動画広告が埋め込まれていることもあり、かなり節約を意識しないと、スマホで1GB以下に抑えるのは困難です。
その意味で、auやソフトバンクのプランは、お試し的に使う人や、スマホを持っていてもほとんど外出先で使わない人に向けたものと言えるでしょう。ある意味、タスクフォースの出した結論に、忠実に従っている一方で、多様性がないとの指摘に「反省してマース」と表向き答えているだけのように見えなくもありません。ソフトバンクに関しては、「SoftBank光」での割引についても「未定」とのことで、詳細まで詰められていない様子がうかがえます。
これに対してドコモは、タスクフォースのお題をクリアしつつも、ある程度実用性を意識した料金設計をしてきました。家族でセットにするという条件はあるものの、同じ金額でも他社より使えるデータ量が多く、逆にデータ量を基準に見ると、料金は安くなります。政策課題だった低容量プランを、うまく利用し、ユーザーにアピールしてきたと言える内容になっているのではないでしょうか。また、家族で契約すると、個別にMNPするのが難しくなり、解約の抑止にもなります。こうした部分まで、よく練られているのが、ドコモのシェアパック5と言えるのかもしれません。