産労総合研究所が上場企業などを対象に実施した「モデル賃金・モデル年間賃調査」によると、今後の「賃金カーブ」は「上昇後査定変動型」への変更を考えている企業が最も多いことが分かった。

 在職者の賃金分布や将来の賃金などのおおよその傾向を知ることができる「賃金カーブ」について、自社の現在の賃金カーブのパターンを聞いたところ、「上昇率逓減型」(34.4%)が最も多かった。次いで、「上昇後フラット型」と「上昇後査定変動型」が20.7%、「上昇後減少型」が14.2%、「一律上昇型」が10.1%と続いた。早い時期に賃金が上昇した後にフラットになる「早期立ち上げ型」の企業はなかった。

 今後、賃金カーブの変更を考えているか、変更後の賃金カーブはどれに当てはまるかを聞いたところ、「上昇後査定変動型」が約4割(38.3%)と最多だった。次いで、「上昇後減少型」(19.1%)、「早期立ち上げ型」(14.9%)、「上昇後フラット型」(14.9%)、「上昇率逓減型」(12.8%)と続いた。年齢に伴って賃金が上昇を続ける「一律上昇型」を考えている企業はなかった。

 2015年の賃上げ状況については、賃上げを実施した企業が83.3%。内訳は、ベアを実施した企業が40.0%、定昇のみの会社が43.3%。ベアを実施した会社は前年比1.5ポイント増で、3年連続の増加となった。

 大学卒・総合職(事務・技術系)のモデル賃金は、入社する22歳時の月例賃金は20万5000円。その後35歳時で34万8000円(基本賃金部分30万2000円)となり、ピークは55歳時の53万2000円(基本賃金部分45万7000円)となっている。

 調査は、上場企業や過去の調査回答企業などに対して7〜8月に実施し、180社(従業員1000人以上48社、同300〜999人52社、299人以下80社)から回答を得た。

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