厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、正社員を確保することができなために正社員以外の労働者を活用する事業所が増加したことが分かった。

 3年前に比べて正社員以外の労働者の比率を聞いたところ、「上昇した」(14.1%)、「低下した」(14.2%)、「ほとんど変わらない」(66.4%)だった。

 産業別に見ると、比率が上昇した事業所が多かったのは「教育,学習支援業」(20.1%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(19.3%)などで、低下した事業所が多かったのは「宿泊業,飲食サービス業」(21.9%)、「運輸業,郵便業」(17.2%)などとなっている。

 事業所規模別に見ると、規模が大きいほど正社員以外の労働者比率が増えた事業所の割合が高く、従業員数1000人以上では40.1%だった。

 比率が上昇した正社員以外の就業形態(複数回答)を見ると、「パートタイム労働者」(59.3%)、「嘱託社員(再雇用者)」(21.6%)、「契約社員(専門職)」(12.7%)、「派遣労働者」(8.7%)となっている。

 正社員以外の労働者を活用する理由(複数回答)は、「賃金の節約のため」(38.6%)が最も多く、「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」(32.9%)、「即戦力・能力のある人材を確保するため」(30.7%)と続いた。

 民営事業所について前回調査(2010年実施)と比べると、「賃金の節約のため」(前回43.8%→今回38.8%)や「賃金以外の労務コストの節約のため」(同27.4%→同23.0%)などが減少する一方、「正社員を確保できないため」(同17.8%→同26.1%)、「即戦力・能力のある人材を確保するため」(同24.4%→同31.1%)、「専門的業務に対応するため」(同23.9%→同27.6%)、「高年齢者の再雇用対策のため」(同22.9%→26.6%)などが増加している。

 正社員以外の労働者を活用する上での問題点(複数回答)では、「良質な人材の確保」(53.8%)、「定着性」(49.1%)、「仕事に対する責任感」(48.6%)などが多かった。

 調査は、2014年10月1日現在の状況について、5人以上の常用労働者を雇用する全国1万938事業所から回答を得た。

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