英明vs今治西

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「センバツの反省」活かした英明8回表今治西・一死満塁から2番・中内 理貴が中飛も中堅手・酒井 勇志(英明)の好返球で同点ならず

 昨秋四国大会決勝戦(英明5対3今治西・試合レポート)の再戦。センバツを経て両者が当時からどのような進化を遂げたか、どのようなテーマを持って戦うかも注目された。

「使わないといけない選手が昨日今日で使えた」大野 康哉監督が試合後明かしたように、今治西の今大会テーマは「新戦力・新布陣のテスト」。この英明戦でも1年生右腕2人が登板。金本 遼(右投右打・176センチ67キロ・今治市立北郷中出身・第9回15U全国Kボール秋季大会愛媛県選抜メンバー)は1回3分の1で最速132キロ、藤原 拓実(右投右打・183センチ82キロ・今治市立大三島中出身・第9回15U全国Kボール秋季大会愛媛県選抜メンバー)は1回で最速134キロ。いずれも無失点と第1シードで臨む夏の愛媛大会へ向け、好材料を得ることができた。

 対する英明はセンバツ初戦敗退(大曲工<秋田>戦・試合レポート)の要因となった守備や走塁面が格段に進歩。特に2つのプレーは圧巻だった。

 1つは6回裏二死一塁から8番・山上 和伸(3年・捕手・右投右打・172センチ69キロ・坂出市立白峰中出身)が左翼線に放った二塁打で一塁走者の6番・冨田 勝貴(3年主将・一塁手・右投右打・高松市立古高松中出身)が長躯ホームインした決勝点のシーン。50メートル走6秒8と決して脚が速くない冨田を還したのは「クッションをレフトが取ったところが深かったし、シートノックを見てカットする内野手の肩も強くはなかったので、迷わず腕を回した」三塁ランナーコーチ・原 啓人(3年・内野手・右投右打・182センチ102キロ・高松市立木太中出身)の隠れたファインプレーである。

 もう1つは8回表一死満塁から今治西2番・中内 理貴(3年主将・遊撃手&二塁手・右投右打・170センチ64キロ・宝塚ボーイズ<兵庫県>出身)が定位置まで飛ばした中飛に対し、1番中堅手・酒井 勇志(3年・171センチ68キロ・右投左打・多度津町立多度津中出身)がダイレクト返球で三塁ランナーを刺したシーン。センバツで決勝点を与える本塁返球暴投を犯してしまった反省を踏まえ、「捕ってからのステップに気を付けて練習をしていた」た成果は、香川 智彦監督も「思い切って投げてくれた」と賛辞を与えるコントロールショットとなった。

 加えて明徳義塾戦(試合レポート)3打数3安打の2番・橋本 駿輔(3年・二塁手・167センチ67キロ・右投右打・浜寺ボーイズ<大阪府>出身)は、この試合では4打席すべてで犠打を成功。好調にも奢らず「つなぐのが自分の仕事」の役割を完璧に果たすなど、センバツの反省を確実に糧にしている英明。「これから投手の軸を決めて、そこからバックを固めていく」(大野監督)今治西との成熟度の違いが、大会初出場で初の決勝戦進出を果たす決め手となった試合であった。

(文=寺下 友徳)