東京成徳大深谷vs春日部東
完封勝利の落合(東京成徳大深谷)
予想を覆す東京成徳大深谷の快進撃が止まらない。投げては先発の落合が完封し、打線は14安打を放つ。東京成徳大深谷3年生17名が無欲の勝利を掴みベスト4に進出した。
1回表、東京成徳大深谷の攻撃は1番・高橋がライトへヒット、2番・後藤もレフトへのヒットで続き、無死1・2塁のチャンスを作り出す。3番・河田の送りバントは投手正面に転がり、2塁走者は3塁で刺され1死。4番・江花のライト前ヒットで満塁とチャンスを広げるが、5番・佐野は2塁正面のゴロ、4―6―3のダブルプレーとなりチャンスを逃す。2回も6番・吉田のヒットと犠打でチャンスを掴むが後続が押さえられ0点。得点にこそならなかったが、じわじわとチャンスを作り続けてきた東京成徳大深谷は続く3回、1番・高橋の2本目にヒットに2番・後藤は3塁ゴロ。5−4−3と渡ったが併殺はならず2塁はセーフ。3番が倒れたが4番・江花がレフトへタイムリーを放ち東京成徳大深谷がついに1点を先制する。
春日部東の先発・菅谷は6回までに8安打2死四球と毎回のように走者を出すが、3回の1失点と粘りの投球を見せていた。そんな菅谷に対し、1対0で迎えた7回表。東京成徳大深谷は好調の1番・高橋が打席に入る。1ボール後の2球目をフルスイングすると、打球はレフトにあがりそのままスタンドへ。待望の2点目が東京成徳大深谷に入り2対0とリードを広げた。
生還し笑顔の東京成徳大深谷ナイン
春日部東は、3回まで三者凡退に抑えられ、4回以降も走者を出すが、東京成徳大深谷先発の落合伸びのあるストレートにスライダーと巧みに緩急をつけた投球に後続を押さえられ無得点。
2点差を追う9回裏、春日部東最後の攻撃。9番・途中出場の保田がレフト前ヒットで出塁。しかし、1番・仲井間の3塁ゴロで1塁走者が2塁封殺され1死。2番・森合はライトへの2塁打で2・3塁と一打同点のチャンスを迎える。しかし東京成徳大深谷の落合も粘り、続く3番・渡部はセカンドフライ、4番・阿葉家もレフトフライに押さえ試合終了。
東京成徳大深谷の先発・落合は、ここまで3連投も球威十分なストレートに変化球と緩急をつけた投球で春日部東打線を3安打無得点に押さえ完封した。東京成徳大深谷はチーム「愛」をテーマに各人が自分の役割に徹し、全員で最後まで諦めない強い意志が、3年生17人の心を繋ぐ大きな武器になっている。昨年4月にグランドが無くなり練習はキャッチボールが中心。バッティング練習は土日にバッティングセンターで行い、フリーバッティングは出来ないなどの厳しい環境だ。チーム存続の危機に1・2年生は去り、残るは17名の3年生のみでこの厳しい状況を戦っている。一日でも、一試合でも多くの執念がベスト4の結果を産んだ。「まさか」の勝利。気迫の野球が実を結んでいる。
(文=滝島 利夫)