編集合戦が続いている「山谷えり子」の項目。参議院の誰がこれに関与したのか?

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   ネット上の百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」に掲載されていた山谷えり子参議院議員の項目が、大きく変えられた。だれの仕業か分かっていないが、ネット上では議員に「都合が悪いこと」が消されたではないか、と捉え、議員自身か周辺が改変したとの見方も出ている。

   改変は、2006年5月10日から9月5日の期間で、20回以上に及ぶ。ウィキペディアは、誰でも編集できると同時に、編集した者のIPアドレス(識別番号)が表示される。これによって、ドメイン名(インターネット上の住所)「sangiin.go.jp」が判明、参議院経由で編集されたことが明らかになった。

都合の悪い記述を削除?

   それでは、実際に改変したのはだれか。
   ウィキペディアの編集者が編集方針を議論する「ノート」という項目では、次のように記されている。

山谷えり子さん本人が書き込んでるみたいですね 他人の書き込みを消すなら。どこが間違ってるか提示してください」

   そして、これに対する返事は今のところない。この「ノート」には、参議院経由で編集した者のIPアドレス、ネットワーク名のほか、削除された箇所が一覧で記されている。削除された部分を見て、「山谷に都合の悪い記述を削除」と捉えて、本人が削除した、と考える人もいる。実際にネット上のブログなどでも、

「せめて身元が簡単に割れるようなところからその作業を行うのは控えるくらいの知恵は欲しいし、その程度のことも思い至らない山谷えりこの能力にも疑問符を抱いてしまう」

「今度はwikipediaで本人に都合の悪いと思われる文章を削除し誰がやったかは判らないが参議院内部のPCから書き換えていたことが発覚したぞ、秘書がやったことでしょうか」

   などと山谷氏やその周辺が編集作業を行ったと見る人が多い。ウィキペディアでは編集された箇所が履歴としてすべて残る仕組みになっているため、参議院のネットワークを利用し、いつ、どこを、どのように編集あるいは改変したのかは一目瞭然だ。

議員本人はパソコン持ってない

   参議院経由で大きく削除された主な箇所は次のとおり。

・ 2005年8月8日小泉純一郎総理が衆院解散し山谷も刺客としての出馬を取り沙汰されたが固辞
・ 2006年5月13日、マリンメッセ福岡で開かれた、統一教会系団体である天宙平和連合の「祖国郷土還元日本大会」福岡大会(合同結婚式も同時に行われた)に、各議員らと共に祝電を打っていた
・ 日本会議国会議員懇談会監事、神道政治連盟国会議員懇談会の副幹事長として首相の靖国神社参拝を求める運動を推進している
・ 山谷は結婚後も旧姓を名乗り、2000年9月には夫婦別姓選択制導入などを盛り込んだ民法改正案の推進を求める申し入れに署名する等、夫婦別姓推進論者であったが、一転、2001年11月統一教会系の日刊紙世界日報における夫婦別姓反対キャンペーン連載では2回にわたって夫婦別姓に慎重な姿勢を表明した
・ 髪の毛は他の女性政治家がしているように茶髪であり、保守的ではない
・ 保守新党|保守党入党は比例代表選出議員の政党間移動が禁止されるため、法律の抜け道を利用して新たに保守新党結党し参加。2003年の第43回衆議院議員総選挙では東京4区から出馬し落選
・ 他の女性議員と大きく異なる点に、ジェンダーフリー教育や、ポジティブアクションに否定的な意見を述べるなどの政治行動が挙げられ、これは統一協会の唱える純潔運動思想とも一致。そのため、女性からの支持が弱いとすると指摘もある。

   稀にみる大量削除であるのは間違いない。
   J-CASTニュースは、山谷えり子事務所に取材を申し込んだが、

「山谷は多忙につき、今回の取材に対しては辞退させていただきます」

   といわれ、だれが削除したかについては不明のままだ。ただ、同事務所の職員は次のように述べる。

「(山谷氏)本人はパソコン持ってないですよ。(パソコンには)疎い方だから、それ(本人が編集作業を行うということ)はないと思いますよ」

   確かに、パソコンがなければウィキペディアの編集はできない。それでは、一体誰が編集したのだろうか。