有料トイレ成功の鍵は管理に
白を基調とした人気の有料トイレは約２年前、東京駅１階に飲食店を集めた「キッチンストリート」のリニューアルに合わせて新設された。男女トイレのほかに障害者などが利用しやすい多目的トイレが設置されている。飲食店の利用客には店舗でメダルを配り、トイレ入り口のドア投入口に入れるとドアが開く仕組み。一般利用客は100円で専用メダルを購入する。入口には案内係役の女性１人が常駐し、トイレの安全を確保するほかに道案内にも応じている。１日の利用者は約700人。そのうち約600人が飲食店の利用客で、週末などには列ができるほどだ。利用時間は、午前10時30分から午後11時まで。
公共トイレの問題点は、メンテナンスの難しさといわれている。その解決策の一つを見い出したのは、鉄道会館・開発営業部の小林健二部長。それまで自社で管理していたトイレを、施設管理会社が請け負う清掃業務の委託に切り替えた。さらに、その清掃会社に設計段階で材料の素材や器具の形状などについて、メンテナンスを行う視点から意見を取り入れた。「設計家がこだわる人工大理石上に、実際に数種類の口紅を塗ってみて汚れがふき取れるかのテストを実施するなどの作業を行った」と小林部長は当時を振り返る。
委託を受けた清掃会社のセントラルビルメンテナンス（東京都千代田区、小林能邦社長）は、若い清掃スタッフを数多く採用している。実際に現場で働く正規社員やアルバイトのほとんどが20代で、有料トイレのほかに、飲食店が並ぶフロアなどを常時、巡回しながら清掃する。一般のトイレ清掃は、定時に行われるものがほとんどだが、同社は独自の巡回システムで、通常より多くの清掃作業を実施するのが特徴だ。
また、トイレ清掃という若者に敬遠されがちな職種を、勤務したい時間帯を２週間ごとに自由に選べるシステムとすることでアルバイトの人集めは苦労しないという。若者採用の利点について、同社の小山玲奈チーフアドバイザーは、「トイレやフロアで若さ溢れる『見せる清掃』をアピールして、常に清掃しているというイメージを印象付けたい」と清新さや熱心さが伝えられると有利さを語った。【了】
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