982日ぶりに白星を挙げた八木、これまでに戦力外から這い上がった選手は?

 中日の八木智哉投手が4日のナゴヤドームでの広島戦に先発し、7回4安打無失点、10奪三振、無四球の快投で、8年ぶりに日本球界に復帰した黒田博樹投手に投げ勝った。日本ハム時代の2012年7月26日・ソフトバンク戦以来、実に982日ぶりの白星となった。

 八木は日本ハム1年目の06年に12勝を挙げ、新人王に輝いた。しかし、その後は伸び悩み、13年にオリックスにトレードで移籍。2年間で1勝もできずに昨年10月に戦力外通告を受けた。そして、トライアウトを受けて中日に入団。一度、死んだ身の男は這い上がった。ここからが本当の勝負となるだろう。

 プロ野球選手は、当たり前に隣にあった野球を奪われると、絶望感に襲われるという。足元を見つめ、出直して八木は見事に復活勝利を飾った。

 これまでも戦力外から這い上がった選手はいた。時には“リストラの星“と呼ばれる選手もいた。

山崎武司は戦力外を経験後、プロ22年目で自己最高年俸(当時)を更新

 同じ中日に目を向けると、かつての巨人のストッパーで、西武でも活躍した河原純一投手がいる。07年に西武を戦力外となり、08年は1年間浪人。けがをしていた膝を完治させてトライアウトに参加し、中日に拾われた。

 その年、44試合に登板して3勝負けなしで、防御率は1.85。中継ぎ陣を支え、年俸600万円から一気に5倍アップの3000万円を勝ち取った。中日では3年間、プレーした。

 中日、オリックスでプレーした山崎武司氏は、36歳だった04年にオリックスを戦力外となった。新規参入の楽天に拾われ、見返したいという思いからプレー。07年には自己最多の成績となる43本塁打、108打点で2冠を獲得した。プロ22年目の年俸が自己最高(当時)の1億9200万円となり、09年オフには2億5000万円プラス出来高で2年契約を結ぶほど、再び花を咲かせた。

今季、戦力外から復活が期待される選手は?

 ホークスでは宮地克彦氏の復活も印象的だった。03年オフ、西武から戦力外通告を受け、テスト入団でダイエー(現ソフトバンク)へ。移籍1年目の04年は93試合に出場し、打率3割1分をマークした。05年は開幕スタメンを奪い、レギュラーに定着すると、プロ16年目で初めてオールスターにも出場。409打数127安打、打率3割1分1厘を記録した。

 昨年は、楽天で福山博之投手が活躍した。福山は2012年にDeNAを戦力外となり、楽天と契約。歌手の北島三郎に似ていることから「サブちゃん」の愛称で親しまれた。140キロ台中盤の直球に魅力があり、楽天の編成はまだ十分に力があると判断。昨年はチーム最多の65試合に登板し、4勝2敗、23ホールド、防御率1.87の活躍でブレークした。

 他にも多くの選手が戦力外から復活し、チームを支えてきた。地獄を見て、再び這い上がってきている。

 今年もオリックスを戦力外となり、DeNAに入団した東野峻投手や、中日戦力外から巨人入りした堂上剛裕外野手、吉川大幾選手も1軍に上がるチャンスはある。当然、八木についてもシーズンを通して活躍することが重要となる。

 返り咲いた選手は一度、1軍で輝いたことがあるか、元々、力がある選手たち。東野、堂上、吉川にも可能性は十分にある。復活への第一歩を踏み出した八木に続く存在となれるだろうか。