遺体発見現場には多くの献花が

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 川崎市川崎区の玉川河川敷で中学1年の上村(うえむら)遼太君(13)の遺体が見つかった事件は、発生から1週間が経ち、未成年の少年3人が逮捕された。

 集団でよってたかって暴行し、複数の刃物で首を切りつける──イスラム教スンニ派過激組織「ISIL」が公開した処刑映像をも想起させる残忍な手口に社会は大きな衝撃を受けた。

 ショッキングな事件の全容を伝えようと、事件が起きた東京湾岸の街には連日、マスコミが大挙して押し寄せている。

「上村君に手をかけた疑いが持たれている犯行グループは、地元の高校生や中学生の集まり。犯罪の残忍さに加えて少年犯罪の可能性が濃厚なだけに、世間の関心が集まっている」(取材に訪れた全国紙社会部記者)

地元では有名な自殺スポット

 フライデー3月13日号(講談社)も、「緊急特集」と銘打ち、事件を詳報した。

 同誌によれば、神奈川県警が事件との関連が疑われる集団について注視しているのは「8人の不良グループ」。そのリーダー格とされる高校生は、

「オヤジを鉄パイプでボコボコにしてやった」

 などと周囲に吹聴するワルだったという。

 凶暴な不良少年たちによる暴走。マスコミの報道からは、そんな構図が浮かび上がってくるが、古くから住む地元住民は事件について意外な反応を示した。

「正直、それほどの驚きはないですよ。少年同士のトラブルから起きたリンチ殺人。ここら辺りでは、そんな血生臭い事件も珍しい話じゃない」

 関東有数の工業地帯として知られる川崎。

 近年は、都内のオフィス街へと通うビジネスマンのベッドタウンとしての機能も持つようになって久しい。だが、現場周辺を歩くと、普段は見ることのない街の裏の?顔?が次々と露わになってきた。

「上村君の遺体が見つかった多摩川河川敷は、今でこそ開発が進んで大きな高層マンションが立ち並ぶようになっていますが、かつては簡素なバラック小屋やホームレスの住処に占拠されていた。上村君の衣服が燃やされたトイレがある公園周辺には、在日外国人の集落やヤクザの事務所も点在していた。お世辞にも治安がいいとは呼べないような環境だ」(先の住民)

 上村君が事件との関連が取り沙汰されている不良グループと接点を持つキッカケを作った公園も、不穏な空気に包まれていた。

 公園で犬の散歩中だった男性は、

「ここらへんの悪い連中のたまり場になっていた。それに地元では自殺スポットとしても知られていた。僕自身も、早朝に公園を歩いていたら、金網にロープをかけて首を吊っている遺体を発見したことがある」

 と明かした。

 現場からほど近い京急八丁畷駅付近には、「日進町」という簡易宿泊所が建ち並ぶ「ドヤ街」もある。狭い区画の中で、素性のはっきりしない者たちが集い、肩寄せ合ってか細い営みを続けているのだ。

 オウム事件の「最後の指名手配犯」だった高橋克也が17年にわたって潜伏生活を続けたのも、この川崎だった。

 未来ある少年の命が奪われた今回の事件も、街の裏面史に深く刻み込まれることだろう。

(取材・文/浅間三蔵)