2015年に起こるクルマ業界の気になる動き2つ
水素で走る次世代の環境対応車「燃料電池車(FCV)」や自律走行する「自動運転車」などが今年の自動車業界を賑わせた。
中でも燃料電池車はトヨタ自動車が12月15日に「MIRAI」を発売したことで現実のものとなった。
このように技術革新が著しい業界だが、今回は2015年に起きると予想される話題を2つ挙げよう。
軽自動車の出力規制が解除される?
1990年に軽自動車規格が660ccに拡大して以降、当時の運輸省からの指導に基づき、パワフルになりがちな過給機付モデルについては安全面への配慮から自動車業界内の自主規制の形で長らく最高出力を64ps以下に抑えて来た。
その一方で2014年度税制改正大綱に基づく「地方税法改正案」で2015年4月1日以降の新車に対する軽自動車税が7,200円/年から1.5倍の1万800円となる事が決定した。
そうした中、ホンダがミッドシップスポーツ「S660」に軽自動車ながらも100psを発生するターボエンジンを搭載して2015年初頭に発売する可能性が囁かれている。
軽自動車税の増税に伴う販売リスクを呑む代わりに、これまでの出力規制を撤廃したいというワケだ。実現すれば25年ぶりの大トピックスとなるばかりか、ターボモデルの燃費性能についてもさらに向上する可能性が有る。
ただ同社は現在、エアバッグやフィットの度重なるリコールで国交省に対して旗色が悪いことから、発売当初はこれまでどおりの64psとなりそう。
とは言え、遡ること10年前の2004年に他社に先駆け、それまでの280ps規制を300psの「レジェンド」で突破した実績が有るだけに、同社の働きかけにより自主規制について見直しが図られるとともに、S660の海外向けや国内ホットバージョンとして100psモデルが追加される可能性は考えられる。
EV用バッテリー革新が起きる?
そして3つ目はEVやHV、PHV、そしてFCVにも搭載されている駆動用バッテリーの革新。
特に発電機能を持たない外部充電頼みのEVは静かさや発進時のトルク感で優れるにも拘わらず、航続距離不足から普及が足踏みしている。
その解決にはバッテリー容量の拡大と高速充放電が不可欠なことから、産官学が連携して現在、果敢に開発に取組んでいる。
具体例は以前の記事「ポスト リチウムイオンの座を狙う革命的バッテリー3選」が詳しいが、「Power Japan Plus(パワージャパンプラス)」による「デュアルカーボンバッテリー」やトヨタ自動車やIBMが取組んでいる「リチウム空気バッテリー」、GEが開発中の「グラフェン ウルトラキャパシタ」などが挙げられる。
おりしもカリフォルニアで「ZEV(ゼロエミッションビークル)」規制の強化が予定されており、2018年モデル(2017年秋以降)からエンジンを主動力とするHVが認定対象から外される見込み。ZEV規制をクリアするには「EV」か「FCV」である事が求められる。
このため、バッテリー性能の向上が従来にも増して急がれており、逆に2015年時点でブレークスルーしないと、規制強化までに間に合わないという事情が有る。
トヨタが今回ガソリン車に匹敵する航続距離やクイックチャージが可能な量産FCVを発売したことで、EV専門メーカーのテスラなども次世代バッテリーの開発を急いでいるのは想像にかたくない。
こうした背景から、2015年もクルマ業界から目が離せない状況が続きそうだ。
*参考:Power Japan Plus