Appleの創業者の1人であるスティーブ・ウォズニアック氏が、創業当時の知られざる話をBloombergのインタビューで語り、今まで信じられていたガレージでの創業ストーリーを否定したり、スティーブ・ジョブズ氏の人物像を明かしています。

Steve Wozniak Debunks One of Apple's Biggest Myths - YouTube

Apple Iを開発していた当時を振り返るウォズニアック氏。



ウォズニアック氏は毎朝4時に起きてApple Iのマザーボードの開発に精を出していました。



「当時考えていたデザインではマザーボードに8個の穴を開ける必要があったのですが、穴を何とか5個まで減らそうと決めました。そこからは試行錯誤の日々でしたよ。5個の穴だけでチップの配置を完璧にしなければいけませんでしたから」とウォズニアック氏は語ります。



Apple IIをうれしそうに抱きかかえる当時のウォズニアック氏。



一番最初に作られた木製フレームのApple I。Apple Iにはウォズニアック氏のエンジニアとしての夢が詰まっていたとのこと。



「Apple Iが完成したときは、『革命が起きる』と確信しました。私はPCを組み立てるのが大好きで、小さいときは父親に『将来は自分専用の大きなPCを持つのが夢だ』と言っていたくらいです。それで趣味の一環としてApple Iを組み立て始めたというわけです。そこにやってきたのがスティーブ・ジョブズ。スティーブは一緒に作った20ドル(当時のレートで約6000円)のマザーボードをPCショップに持ち込んでお店に売ろうとしたのですが、店長に『みんなが欲しいのは基板ではなく完成したPCだよ』と断られたんですよ」



その後2人は250ドル(約7万5000円)で作ったApple Iを500ドル(約15万円)で売り、お店は666ドル66セント(約20万円)で販売したとのこと。



こうした経緯を経て2人はAppleを創業するわけですが、ウォズニアック氏は「創業に関してはおおげさに伝わっている部分があります」と意味深な発言をします。



「Appleはジョブズ氏の自宅のガレージで創業し、日夜作業が行われていた」と言われていますが、ウォズニアック氏は「ガレージで開発を行ったというのは作り話です。ガレージのストーリーは我々の象徴のようになっているけど、ガレージで設計や開発をしたことはありません。完成した製品を運びこんで、動作確認をして、販売先のお店へと車で運ぶのに使っていただけです」と、ガレージ創業の真実を語りました。



幼い日のウォズニアック氏は「自分でもギークだった思う」と言うくらい、機械に夢中の少年。



「同じ年の友達と同じ目線で世界を見ていませんでした。ちょっとした社会のはぐれものみたいな感じです」と楽しそうにはんだ付けするウォズニアック氏。



ウォズニアック氏が組み立てているのはApple IIです。



「Apple IIを販売したとき、会社はものすごい額の投資を受けました。その時こそがジョブズがビジネスマンに変わった瞬間です」



会社が大きく成長すると共に、ジョブズ氏はスーツに身をつつんで雑誌の表紙をかざり、自らの役割を確立させていったとのこと。



「社員全員がビックリするくらいの給料を手に入れて、有名になっていったんですが、私はただ自分のPCが欲しかっただけなんです。だからApple IIを作るのに手を貸したんですよ」と語るウォズニアック氏は1987年にAppleを退社しました。



組み立てたApple IIを楽しそうに起動するウォズニアック氏の姿から、生粋のエンジニアだったことがうかがえます。