江蘇省南京市を流れる句容河で14日ごろ、約10キロメートルにわたって死んだ魚が浮き上がった。周辺住民が詰めかけて、浮いた魚を集めた。市場に持ち込んで売りさばいた住民もいたという。中国新聞社が報じた。

 魚が浮き上がったのは南京市郊外の江寧区淳化街道付近。近くで操業する化学工場の排水が原因とみられ、環境汚染の刑事事件として、警察が捜査を始めた。

 川の水は黒く変色し刺激臭が立ち込めた。浮き上がった魚は養殖されていたものではなく、天然もの。まだ生きている魚もいたが、中毒症状を起こしているらしく、異常な動き方だったという。

 住民らがつめかけて、魚を次々にすくってとった。1辺が50メートルほどもある、大型の網を仕掛ける住民もいた。1人で350キログラムも捕った住民もいたという。

 魚を調理して食べたという人によると、都市ガスのような臭いがした。自分で食べた人は少なく、多くは売りさばいたという。

 現地行政の環境保護部門によると、排水を出した疑いがある工場は、2006年に操業を開始した。近隣住民から川を汚しているとの指摘が相次いだため、2013年に施設を改善させた。その後は、住民による汚染の指摘はなかった。

 行政側が確認している排水管は1本で、排出基準に合致する合法的な操業をしていたはずだが、密かに排水管を増設した可能性もあるとして調査するという。

 行政は現場に、「最近数日、原因不明の汚染物質により、魚類が大量死しました。村民の皆さんは、魚を捕って食べたり売ったりしないでください、健康被害がでる可能性があります」との貼り紙をして、近隣住民に注意をうながした。(編集担当:如月隼人)