23日に日本代表メンバーが発表された。新たに工藤壮人(柏)と東慶悟(FC東京)が選出されたね。ようやく不動のメンバーに動きがあったかと、メディアもファンも色めきだっているけど、ザッケローニ監督はこれまでも手元で見てみたいという理由で若手を招集している。そういう意味では、特にサプライズではないと思うね。

 そうした若手が基本的に試合で使われることがない、という点についての疑問が消えることはないが、さらに気になるのは、Jリーグのどこを見ているのか、という点だ。下位に低迷する磐田からは、まるでオートマチック的に3人選出されている。むしろ工藤が例外的で、調子の良い悪いはあまり関係ないようだ。
 
 そもそも代表チームとは、その期間だけ集まって試合をする、文字通り選抜チームだ。今回は特に本田と長友のコンディションが不透明であるため、スポット的にその穴を埋めなければならない。まずはW杯出場権獲得という命題をクリアする、つまりオーストラリア戦1試合だけのことを考えれば、例えば中村俊輔が入ってもいいだろう。高さのあるオーストラリアに対して、高さに弱い現在のバックラインを考えれば、闘莉王や中澤佑二が入っても悪くないだろう。
 
 代表とクラブチームは違う。ところが日本代表は基本的に4年間メンバーに動きのない、その監督のチームになってしまっている。世界中を探しても、代表チームを「監督名+ジャパン」で呼ぶのは日本だけじゃないのかな? それがすべてを物語っているよね。
 
 もう一つ、ザッケローニが不動のメンバーで戦術を熟成させたいのは、保険をかけたいというのと同じだと思う。誰かを抜擢して、つまり冒険してうまくいかなったときの責任を回避したいのだ。勝手知ったる選手たちを集めて、ここまでは計算できる、というラインがないと怖いのだろう。ある意味では当然だが、冒険のなさは物足りなく感じてしまう。
 
 それなのに、日本のスポーツメディアの追求姿勢が弱いというのは何とも皮肉だ。ヨルダンに負けた時も、「あんたはクビだ」と言ったのはヨルダンの選手だけだった。ブラジルメディアのような苛烈さが必要だと言っているわけではないけど、そうした厳しさがその国のサッカーを強くしていくのもまた事実だよ。