我がサンフレッチェ広島は、歴史上最も重要なラスト3試合を戦うことになりました。「歴史上最も重要」と書くのは勢いではなくて、1994年ファーストステージの優勝からはや18年、2ステージ制におけるタイトルはなんとなくカウントされない風潮もあり(実際、広島はチャンピオンシップに敗れてシーズンを終えているし)、広島にとっては切望のリーグタイトルがすぐそこに迫っている状況といえます。

 とはいえ、「本当に」切望していたのかというと、「こんな状況で迎えられるとは思っていなかった」のも正直なとこで。昨季王者の柏レイソル、あるいは個人の能力に優れる名古屋グランパスが終盤に上げてくると思っていたし、ガンバ大阪やセレッソ大阪は監督選びにさえ失敗しなければ今頃上位だったでしょう。広島のここまでの順位が、彼らの不調に助けられた側面があることは否定しません。
 
 しかし、優勝を争うというのはそういうものだと思います。どのチームもそれなりの力量を持っていて拮抗している中、ちょっとした不運やボタンの掛け違いで勝敗は左右され、積み重なって成績となる。しかし、その運をつかむというのも一つの実力であり。少なくともサンフレッチェ広島が積み上げてきた17勝7分7敗、得点58失点31得失点差プラス27という数字は、運ももちろんありましたが、紛れもない実力であると思います。
 
 失点数は最も少なく、得点数はガンバ大阪に次いで多い。予算規模ではリーグ真ん中より下であり、昨年99パーセント減資を行ないミシャ・ペトロビッチを手放し、佐藤寿人・中島浩司に減俸を飲んでもらい、李忠成・ムジリといった主力を手放し、悲壮感すら漂う「団結」というスローガンを掲げて臨んだシーズンで、まさかラスト3試合の時点で首位に立っていることはまったく想像できませんでした。
 
 ほとんどの有識者が15位あたりに広島を予想していたこともあり、こうした状況を想定した人間はクラブ関係者も含めほとんどいないでしょう。この成績は「想定どおりに積み重ねた」のではなく、森保一監督が事あるごとに強調する「1試合1試合を大事に戦って」きた結果のこと。
 
 非常に見出しも作りにくい、派手なことも言わない、質実剛健を絵に描いたような森保監督に率いられ、ミシャ・ペトロビッチに育てられた広島はいよいよラスト3試合に臨みます。ということで、自分なりのプレビューを。