By WebWizzard

スウェーデンの通信機器メーカーエリクソンが開発している、人体を通信ネットワークの一部として使用する技術「Connected Me」のデモンストレーションで、6〜10Mbpsの通信速度を達成するというコンセプトが初めて実証されました。人体が通信ケーブルの役割を果たすということで、技術が普及すればいろいろなケーブルが不要になります。

人体でネットワークに接続する方法 - エリクソン


Connected Meのデモでは、片手に携帯電話を持ち、もう片手で信号受信デバイスに触れることで、体内を微弱な信号が通過することを示しています。実際に試しているムービーがコレ。

Connected Me - Ericsson

REDEFINING TOUCH(接触の再定義)


デバイスに触れ人体経由で通信をするというのが「Connected Me」のコンセプト。容量性カップリングと呼ばれる現象が利用されています。


たとえばこのように片手にスマートフォン(信号を人体に伝える回路を内蔵している)を持ち、もう片手でデバイスに触れることで、通信が行われます。


こちらはドアの開閉に用いた実用例。この時点ではドアはロックされています(ノブが赤く発光)が……


スマートフォンで「開錠」を選びデバイスに触れることで、ロック解除の信号が伝わります(ノブが緑発光に変化)


これでドアが開けられるようになる、というわけ。


こちらはまた別のデモ映像

Connected ME - YouTube


これらが受信デバイス


中身はこんな感じ


パネルに触れることで通信が行われます


これらに用いられているデバイスはICNIRP(国際非電離放射線防護委員会) が策定し、WHO(世界保健機関)が公認した標準に準拠していており、電力レベルも低いため、危険はありません。また、商用デバイス向けの要件は十分に満たしています。

Connected Meがあれば、たとえば自動車やホテルの部屋の鍵などを開閉するときに自分の体を電子回路として利用したり、あるいは手でデバイスに触れるだけでお店での買い物の支払いを済ませたりすることができるようになります。また、今回、最大で10Mbpsまでの伝送が可能だと実証されたので、HBC(人体通信)対応スマートフォンからイヤホンに音楽を飛ばしたり、あるいは動画を伝送したりすることも可能です。

BluetoothやNFCのような短距離通信技術と役割が重複しているように感じますが、エリクソンではBluetoothやNFCの代替品としては考えておらず、ユーザーにとって親しみやすい新たな通信手段が追加されるものだと考えているとのこと。

なお、エリクソンのソリューションは今のところ10Mbpsで作動していますが、20Mbps〜40Mbpsも達成可能な範囲にあるそうです。ちなみにHD動画の伝送にはだいたい12〜16Mbpsが必要なので、そのうち人体をネットワークに接続してストリーミングでムービーを再生する、というようなことも可能になるようです。



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