国土交通省と農林水産省から先頃、外国資本による不動産買収の実地調査結果が公表された。地方の温泉地や山林を外資系企業が買収するケースが続発しているのに、「なぜ国は放置しているのか」という批判に応えたものだ。
 「都道府県を通じて調査を行った結果、所有者の国籍はシンガポール、香港、オーストラリア、韓国などと確認されました。もちろんこの内のいくつかは、中国資本または中国政府系企業が絡んでいると思われます」(国交省担当記者)

 中国の小金持ちが別荘や住宅を買うのであれば、そう目くじらを立てることもないが、実際はそれほど穏やかではないという。
 「長崎県対馬の自衛隊基地周辺の土地を韓国資本が買収していることが、安全保障上の問題となっていますが、最近も北海道で同様の危機が起きています。北海道の空の玄関『新千歳空港』の隣接地が、中国政府系企業に売却されようとしているのです」(取引関係者)

 売買契約書の買い手の項を見ても、外国資本と判別できない場合がある。同空港のケースはまさにこれだという。この関係者は「名前をすんなり出せない事情があるのでは」と指摘する。
 同空港は航空自衛隊千歳基地と隣接し、航空管制も空自によって一体的に行われるなど、物流拠点としてだけでなく、日本の防空上の重要な拠点としての機能を併せ持っている。
 「問題の土地は、空港への進入路となっている国道を挟んで滑走路のすぐ脇にある。かなり広大な土地です。買い手のA社社長は、中国企業が森林資源と水源を購入した際に橋渡しをした実績のある人物。中国のカネとヒトを呼び込んで北海道経済を活性化するというのが持論で、本当の買い手は中国政府直轄の企業であることをにおわせている。計画では大規模な物流センターを作るようですが、国防の観点からも重要な新千歳が中国の支配下に置かれるようなことになりはしないか心配です」(別の関係者)

 日本は、尖閣諸島のような領海だけでなく、国内の土地についても、もう少し考えを巡らせるべきだろう。