いよいよロンドン五輪出場を決めるか。

 8日、ロンドン五輪アジア最終予選(3月14日・国立競技場)のバーレーン戦を迎えるU-23日本代表のメンバー発表記者会見が開催された。不思議なことに、アジア最終予選進出を決めていた日本代表の記者会見よりも報道陣の集まりが遅い。「本戦出場はもう間違いない」ということだろうか。だが、バーレーンは日本が敗戦を喫したシリアを下している。勝敗について、決して楽観視はできないはずだ。

 今回発表されたメンバーは19人。GKは権田(FC東京)、増田(広島)、安藤(川崎)、DFは比嘉(横浜FM)、大岩(千葉)、鈴木(新潟)、吉田(清水)、酒井(柏)、濱田(浦和)、高橋(東京V)、MF山本(磐田)、山村(鹿島)、東(大宮)、山口(C大阪)、扇原(C大阪)、FW永井(名古屋)、齊藤(横浜FM)、工藤(柏)、原口(浦和)。

 3分遅れで、記者会見が始まった。登壇者は関塚隆監督、原博実強化委員長。前回の記者会見に比べると、両者とも表情は硬い。質疑応答では原委員長が話す場合も3回あり、選手招集の裏事情説明が一番長かった。



原博実 強化委員長(以下、原委員長) 現場の監督・選手はもちろん、我々スタッフは一丸となって出場権を確保するために戦っていきたいと思います。メンバーなのですが、今回は19名にしてあります。海外の選手も、今(交渉に)あたっているところもあります。

 国内の選手もJ1が開幕になりますので、ケガをしている選手でもJ1の開幕戦でやれるか、コンディションを見て追加したいと思っています。通常のリーグ戦だとずっと試合をやっているというのがあるのですが、今度J1が開幕ですので、そういうことを含めて状態を見て追加したいと思っています。なので、あえて19人で発表させていただきました。

 昨日なでしこもいい試合をしていましたし、我々男子もオリンピックのメダルを取るために全力でいきたいと思います。みなさんもそうですし、サポーターの方にも国立に来ていただいて、みんなの力で出場権を勝ち取りたいと思っています。よろしくお願いいたします。

関塚隆監督(以下、関塚) 7カ月に及ぶアジアの予選も、3月14日で最終節を迎えます。5試合の中でいろいろありましたが、最終戦で自力でロンドン五輪出場権を獲得できる状況で、ホームで、国立で試合ができるというのは本当に心強いです。なんとしても、モノにしたいと思っています。

 今回19名のメンバーですが、3月14日のメンバーもそうですがケガ、それから出場停止等で不在のここまで戦ってきたプレーヤー、89年以降の出場権のあるプレーヤーの気持ちをしっかり、我々の力強さ、一丸となった戦いというものを3月14日に展開して、ロンドンへの切符を勝ち取りたいと思っています。

 サポーターのみなさんにも国立に足を運んでいただいて、我々を後押ししていただきたい。我々も世界に向けて、そこを目指したサッカーで結果を残していきたいと思っています。

――工藤選手が久しぶりに召集された理由は?

関塚  大迫選手の出場停止もありますし、工藤選手もずっと(招集しようと)思っていた選手です。彼自身も昨季、柏レイソルでチームとしてのJ1優勝、世界クラブ選手権での出場を経験し、昨日もACLに出場しました。大きな経験をしながら、力を付けてきていると思います。彼の特長である、しっかりボールを納めてゴール前のシュートの巧さ、そこをバーレーン戦の中で発揮してチームに活力を与えてもらいたいと思っています。

――これまでと心境の変化はありますか?

関塚 1位通過のために最終戦まで来た、いよいよ大一番だという気持ちで一杯です。今まで我々が築いてきたもの、選手が何人か入れ代わる中でやってきたものは、3月14日にしっかりと出した内容で結果を求めたい。今はそういう心境です。

――原委員長、本大会のときは18人ですが、本大会のときは海外組はどうしますか。

原委員長 出場権を得てから考えたいと思いますが、いろんなクラブ、それは国によっても、クラブ・選手の置かれた状況によって変わると思います。個別にやらないと、一般的に「こうです」とは言えません。今はそういうことを悩む状況になれるように、14日で出場権を獲得するということですね。
 それが決まったら、具体的に海外の選手をあたることもできます。今の状況で。海外のクラブに聞いても仮定の話だと答えてもらえないと思いますから、決めてから対応していきたいと思います。

――原委員長、五輪の壮行試合は?

原委員長 「決めた場合はこうです」というのがあります。決まってからお話しします、すべては出場を決めてからの話ですから。

――引き分けでも1位通過できますが、引き分け狙いは考えている?

関塚 今はホームですし、しっかり勝点3を取る、そういう方向でチームを進めていきたいと思っています。

――海外組はどれくらい招集する予定ですか。

原委員長 僕のほうから答えます。具体的なほうがわかりやすいと思うのですが、前回、大津選手はクラブと合意できていました。合意の前提は、週末の試合後、あるいは「週末の試合に入らなければ先にマレーシアに出してほしい、もし入った場合はできるだけ早く出してほしい」という内容で、クラブも了解はしていました。

 ただ、大前提がクラブの中でケガであったり、いろんな不確定要素が起きなかった場合です。そうしたらインフルエンザが流行り、それまでメンバーに入っていなかった彼がメンバーに入りました。「試合が終わったらすぐ出してください」と言っていたら、試合の中で主力選手、中盤の選手が鎖骨骨折をしてしまった。そういう状況で、試合後にすぐ連絡を取ってみたら今回は申し訳ないが出せないと言うことになった。

 そこまでみないとわからないんですよ。試合の日程も、土曜のところもあれば日曜のところもあって、その国、その場所、一番早く来られて何時かというのを我々は出した中で交渉しています。五輪の選手をインターナショナルマッチデーではないところで呼ぶので、向こうも事情を理解した上でオッケーと言ってくるところもあるし、「気持ちはわかるけれど、こういうスケジュールだからリリースできません」と言ってくるところもあるんです。

 我々も現場がやりやすいように動きはしていますが、「絶対来ます」とは言えないんです。なので、週末の試合が終わってすぐに連絡を取り合ったり、万一週末の試合のメンバーに入らなければ早く来るかもしれないのですが、できるだけ早く来てくれるようにお願いはしています。

 そして、同じようにできる限りすぐ帰す。週末の試合も、金曜日であっても土曜日であっても、たとえば「終わったらすぐ帰すから、こういうスケジュールで帰るから」というお願いをしているのが現状です。新聞にも誰が(と名前が出たり)とか、非公式に断ったとかいろいろな話が出ています。合っているところも、そうでないところもあります。クラブに迷惑がかかるところもあるので、個人的な名前はちょっと言えないところがあります。それが現状です。

――追加招集するメンバーは攻撃的な選手でしょうか?

関塚 人数的なところはあると思いますが、しっかりとJリーグ、海外組を含めて、ベストの布陣が組めるような、そしてそこを見極めなければならないところの選手です。それ以上は控えさせていただければと思います。
 
――ボランチの現状と組み合わせは?

関塚 試合を重ねるごとにチームとしてのフィット感が見えてきたところもあると思います。その中でより守備的なところ、2人とも攻撃的なところの展開できる、そこの特徴をみながらいくつかの組み合わせを作っているという状況です。

 このメンバーに入っていない選手でもその可能性を秘めたプレーヤーがいる中で、やりなれた中で、今回のバーレーン戦ではこのメンバーの中でいくつか組み合わせる、それがベストじゃないかという判断のもとで、プレーヤーたちの招集を決断したというところです。

――バーレーンの戦い方をどう予測しますか?

関塚 前回アウエーで戦ったときから、今回は代表監督が兼務しています。12月にガルフカップがあって、力を付けてきていると思います。(攻撃では)縦ヘの力強さに今度はパスワークを付け加え、(守備では)懐の深いディフェンスが特長だと思います。

 そこをしっかり、日本の国立のピッチで自分たちの形、リズムでサッカーができるかという勝負になってくると思います。今回は集まってすぐ試合でもありますし、我々がどんな戦いができるかというのが大事だと思います。



 以上で質問が終わり、20分間で終了となった。肝心なことは言わないという関塚流会見だった。

<了>