勝つと思うな、思えば負けよ!

美空ひばりさんの名曲「柔」の一節。この歌詞のベースにあるのは吉田兼好が書いた「徒然草」にある双六の名人の言葉だそうです。「勝たんと打つべからず、負けじと打つべきなり」。つまり、勝つことを考えるのではなく、できるだけ負けないように負けを遅らせるような手を打っていくとよいとするもの。「負けの理由を減らす」ことで結果的に勝ちに近づく。なるほど、「ヒット商品を作る!」的なビジネス書でも大きく取り上げられそうな考え方です。

とはいえ、現代では件の歌詞は「勝ったと思ったら落とし穴に落ちる」という解釈で受け止められているもの。少しのリードで有頂天になり、終盤にまさかの逆転を喫する…そうした失態を戒める言葉として用いられています。実際にそうしたシチュエーションは多数ありますし、この戒めで救われた人も多いはず。最近ではそうした油断・有頂天に対して、「フラグを立てる」などと言う人も増えました。映画によくある「この戦争が終わったら結婚するんだ→戦死」といった展開のように、油断した言動がきっかけ(=フラグ)となって敗れるケースがそれだけ多いということでしょう。

ならば、逆もしかりではないのでしょうか。

勝つと思えば負けるのならば、負けると思えば勝つかもしれない。テスト当日に「いやー、全然勉強してないわ。赤点だー」と叫んだり、好きな男の子の前で「私ブスだから」と縮こまったり、馬券を買った直後に「シャレで買ってみた」とうそぶいたり。自分が負ける未来を強調しながら、本当は勝ちを願っている状況は皆さんも経験があるでしょう。たくさんの人が実践しているくらいですから、ひょっとして効果があるのではないでしょうか。あるいはこれは宇宙の法則なのでは。負けようとするほど勝ってしまうのでは…!

なんてトンチンカンな思い込みに身を委ね、本当に実践してしまった球団が誕生しました。負けを前提にシーズンの戦略を組み立て、負ける気マンマンで2012年を始動したその球団…そうです、それはもちろん横浜DeNAベイスターズ。新監督・中畑清氏はまだ2012年が始まって1週間だというのに、サッパリとした諦めで来季を見据えていました。「まず、負けるじゃん。そっからどうするかだよ」とでも言わんばかりの施策・意気込みの数々。それら「負け前提」の言動は、おそらく「負けと思えば勝つ」理論から生まれたものなのでしょう。そうに違いない。そうとしか考えられません。だって、ぶっちゃけ負けると思っていて、それが腹の底から言動の端々に滲み出ているとしたら、あんまりにもあんまりな正直者ですからね。

ということで、本当は勝つ気なんだよ、わざと逆フラグを立てているんだよ、という好意的な色眼鏡で、負ける気マンマンの中畑監督をチェックしていきましょう。



◆露出が熱いぜキヨシ!まるで県知事時代のそのまんま東さんのよう!

実務はともかく露出は多い。俺はDeNAのセールスマン。野球のことはユタカに聞いてくれ。そんな匂いをほんのりと感じる、最近の中畑監督の露出具合。自ら積極的に話題を提供し、面白写真撮影のチャンスを設け、記者たちに「こいつバカだなぁ」という記事を書きたくさせる手腕。DeNAという自信を失いかけた球団にとっては、うってつけの人材ではないでしょうか。

今や新聞でDeNAの記事を目にしない日はありません。話題はないんですよ。すごい選手が入ったとかもないですし、人気が高まったとかもないですし。しかし、去年と何も変わらないのに露出は増えたのです。プロにとって、こんなありがたい話はありません。誰も見ていない原っぱで球投げ・球打ちをしてどうなるものか。注目されてこそプロ。見られてこそ実力以上の力も出るというもの。中畑監督は野球の上手さ以前の問題の解決に取り組んでいるのです。「自分たちは見られている」ということを思い出させ、彼らを真のプロに導こうとしているのです。間違っても試合途中でロッカーに引っ込んだり、監督室でテレビを見たりすることがないように…。

そんな感じで、僕の中では「露出願望の男」「露出野郎」「プロの露出家」と評価も急上昇中の中畑監督は、相棒の高木豊ヘッドコーチとともに7日のフジテレビ「すぽると!」に登場。フジ側の「どうでもいいチームから消化していくぞ」「まだみんな野球に注目していないうちにお義理で一回呼んどこう」「コッチからキャンプ地に出向くのは面倒臭いからな!」という思惑もどこ吹く風。キヨシは「負けと思えば勝つ理論」を全国ネットで実践し、数々の逆フラグを立てていったのです。

↓キヨシの逆フラグでDeNAの未来は逆に明るくなりそうな予感!
●視聴者投票によるセ・リーグ優勝チーム予想アンケートについて

司会の国分さん:「4年連続最下位の横浜がどこまで上がってくるでしょうか」

キヨシ:「どうぞ自由に、思い通りにやってください!」

(スタッフ大爆笑、ユタカは終始ニヤニヤ)

解説の江本さん:「思い通りにやらしていただきます」

(キヨシ大爆笑)

おおっ、いきなりの逆フラグカモン宣言!

国民全員が6位と思えば、逆に順位も変わるという狙いだな!

決して「どうせ6位だろ」と諦めているわけではない!


●投手陣の再建について

番組ナレーション:「昨シーズンは希望が垣間見えた一年だった。(中略) リリーフ陣は救援防御率リーグ4位と安定した力を発揮」

司会の本田アナ:「昨シーズンのセ・リーグ6球団の勝ち頭を一覧にしてみました。トップは中日の吉見投手…(中略)…横浜の勝ち頭は三浦投手と高崎投手の5勝だったんですよね」

(バックではさらに昨シーズンの先発勝ち星を表示。5勝が2人、4勝が2人、2勝が3人という驚きの数字。ちなみに、4勝を挙げた小林太志の写真を入れるべきところに、小林寛の写真を表示する一幕も。小林公太と合わせて3人もコバヤシがいるDeNAに対する「コバヤシ多すぎるだろ」という番組側からの嫌味)

キヨシ:「これ何で映したの?これ準備してさ、わざとらしくさ、この5勝っていうのが最多勝だってわかりきってるんだからさ、ホントだったらやめてほしかったね。でもこれはね悪いんですけどね、これ逆になってもオカシクないくらいね、高崎というピッチャーは。5勝15敗なんですよ実は。でもピッチング内容は10勝に値する力を見せているんですよね」

番組と結託して、投手陣の力を必要以上に低く見積もる作戦だな!

「5勝15敗」を逆にすると言いながら、10勝とするあたりも控えめで結構!

まぁもっとも、逆にすると「15敗5勝」になるだけなんだけどね!


●2012年マークする球団について

司会の国分さん:「中畑監督、どの球団をマークしようと考えていますか?」

キヨシ:「まだまったくその次元には行っていないチームでね。私も含めてね。戦力も把握していない状況で、どこをマークとかいうことじゃなくてね、全チームに対して当たって砕けろみたいな」

やはり当たって砕けろだな!

ちなみに、キヨシの古巣・巨人に対しては「目の色を変えて当たって砕ける」と宣言してくれた!

つまり、どっちみち砕けるんだ!燃え盛る破片が熱いぜDeNA!


●2012年シーズンの目標について

キヨシ:「一言で言って、てっぺん目指すぞということを言いつづけて一年間頑張っていきますけれども、グラウンドに来ていただくお客さん・ファンに対して、本当にもう一回見に行こうじゃないかという気持ちにさせる野球を毎試合提供したいんですよね」

キヨシ:「負け試合を、よーっしもう一回このチームを応援しようじゃないかという気持ちにさせるくらいグラウンドが熱い、そういう試合をやりつづけます。それだけは宣言できる気がしています。とにかく一度、横浜ベイスターズにこの(熱い)野球を見に来てほしいなと思います」

負け前提のお約束をめっちゃ力強くしやがったwwwwwww

しかも「気がする」だけだったり、チーム名間違えたりwwwww

目標は「てっぺん」でバフッとしてるし、基本的に勝つ気ねぇwww


このようにテレビで積極的に負けを宣言することで打ち立てた逆フラグ。他球団は「DeNAは無視して大丈夫」とノーマークにしていることでしょう。まぁテレビ出演とは無関係に、そもそもノーマークだという説もありますが、ヘンにマークされなければOKです。育成枠の投手のお試し登板に、怪我した選手の復帰戦に、奇抜な作戦の実戦テストにDeNA戦を活用していただきたいもの。DeNAは負けても楽しい試合をお約束します。そうです、コッチの客が限りなくゼロになり、相手の客だけでスタンドが埋まれば「DeNAが負ける。客は楽しい」という状態が完成するのですから…。

↓基本「負け前提」の思想なので、選手にも凡打したら「すいません」と謝罪を要求することだけ決めたぞ!
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2012/01/04/kiji/K20120104002361510.html

失敗したときは謝罪することに決めた!

成功したときにどうするかは決めてない!

たぶん成功しないから!


↓誕生日ケーキのロウソクすら満足に吹き消せない中畑監督の図!
http://www.sanspo.com/baseball/photos/120107/bse1201070504000-p6.htm

この顔、コラージュ素材としていい味出そうwwwwwww

何一つ上手くいかないシーズンは、ファンも泣きながら笑うしかないな!


これだけ逆フラグ立てれば、負けても胸は痛むまい!涙が熱いぜDeNA!