1000人でSXSWへ行こう!まずは東京でキックオフパーティーから【湯川】 という記事の中で、頓智ドットの井口尊仁さんやTechWave副編集長のマスキンが来年3月に米テキサス州オースチンで開催される世界最大の音楽・映画・ハイテクの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)」に日本のスタートアップ関係者を大量に引き連れていこうとしている話を紹介した。なぜ今、そのような無謀にも思える行為が大事なのか。井口さん自身に説明していただこうと思う。セカイカメラで華やかな世界デビューを果たした井口さんならではの説得力ある意見だと思う。(編集長・湯川鶴章)




井口尊仁

SXSWプレイベント「SXSWキックオフパーティーin Tokyo」の準備も進んでいます。SXSWアジア事務局からも多数の情報を提供していただくようになっており、臨場感がますます増して来ていますね。

実際、年々イベントは活性化し経済効果と世界的波及力は増大している訳ですが、SXSWならではの醍醐味。つまり、オルタナティブな価値観を持っている方が強い。資金力や組織力よりもインディペンデントな発想や行動力の方が勝ち目の有るのがSXSWなのです。



実際2007年の Twitterも、2009年の Foursquareも掛けたコストは微々たる物。それがここまで世界的存在に登って来れるロックな場所がSXSWなのです。で、今回は僕の思いつく範囲でSXSWならではのオポチュニティを整理したいと思います。


SXSWは創造者の祝祭です



たとえば自分自身が製品開発するとき、ついつい「クリエーターで知的好奇心や行動力旺盛、オープンマインドな生き方を好むネットワーカーでもある」みたいなペルソナを考えがちです。でも、実際にはそういう人ばかりの環境って、美大とかデザイン系企業ならともかくその辺りにゴロゴロしている訳では有りませんね。

SXSWは五万人とも言われる創造者のための祝祭空間です。映画監督、音楽プロデューサー、美術大学教授、ゲーム開発者、スタートアップ起業家、ベンチャー投資家、テレビ制作者、現代美術キューレーターなど多種多彩な作り手送り手がオースティンという学際都市に闊歩している状況は、ある種奇跡的でもあります。

SXSWはコンテンツプラットフォームです



そんなSXSWですから、ITスタートアップにとっても非常に魅力的な場です。常に映像や音楽、ゲーム、デジタルコンテンツなどの上映、上演、コンテスト、アワード、プレゼン、セールス、ディールが繰り広げられているので、SXSWではその期間中あらゆる場で自分たちのサービスを実演して売り込めます。

たとえばライフバウスのブッキングのサービスだけで一躍有名になって大きなシェア獲得に成功した事例とか、TwitterやFoursquareのようにその空間の情報流通に新しい価値軸を提供出来たことで(TWの場合はパブリックタイムラインで聴衆の行動を変えた。FSの場合はチェックインで地場のバーやカフェへのリーチ価値をシフトしました)飛躍的に伸びた事例があります。これの事例は枚挙にいとまがありません。PlancastやFoodspottingなどもSXSWブランドと言われている様です。



SXSWのネットワーキングは他に類を見ません



SXSWはマルチカルチュラルなだけでなく(音楽、映画、ゲーム、ウェブなどの最先端が集っている)グローバルに世界中から人が集結します。ですので、バズマーケティングと言っても影響範囲が非常に大きい可能性があります。しかもメディアに影響力を持ったインフルエンサーや世界中のメディアが千のオーダーでチームを組んで押し寄せて来ますから、話題獲得した場合の広がりが大きいのです。

なにしろそういう場なので英語も相当混沌としてます。もしかしたら日本人の英語は秩序正しい方かも知れないですし、母国語でない人達も非常に大勢いるので(同じ立場!)怖じ気づく事無くコミュニケーション出来る良い機会かも知れません。

SXSWは世界とのインタラクションを変えるかもしれません



そのように多種多様な文化を背負った自由人が世界中から音楽、映像、ゲーム、ウェブなどの最先端を発信したり楽しんだりするために集結しているSXSWですから、ある意味世界の見え方が変わる可能性があります。だって東京だろうが上海だろうがパリだろうがシンガポールだろうがそういう環境が数万人規模で実現する機会ってそうそうありませんからね。

2011は3.11に直面して即座に募金活動や震災救済パネルやその他の様々なボランティア活動が発生しました。それは、ソーシャルメディアの非常に良い面の発露だった様に感じました。それは一例ですが、SXSWの秘めた可能性の一端を垣間みた思いがしました。



Samurai of Thousands go to Austin SXSW 2012

今回千人のサムライがオースティンに上陸すると良いな!と思っているのは、SXSW初上陸で上の様な衝撃体験をして(実はテキサスのビリオネアーに義援金獲得しに押し掛けたり、その帰りにFROG DESIGNのデザイナー自宅に押し掛けたり、そういった得難い体験を出来たのも、大勢のSXSW体験の凝縮された1バリエーションなのでは?と思っているのです)人生観が変わった所が有り、それが新しいタイプの日本人にどんどん受け入れられて行くときっと面白い!と感じたからです。

ですから、音楽家や起業家だけでなくメディアの人や映像の人、あるいはプランナーやコンサルティングの人なども大勢行くときっと新しい独自の価値観との接近遭遇が有るのでは?と思っています。

とはいえ、自分の関心としては自分の製品と多くの起業家の皆さんの新製品とを含めて日本のスタートアップが輝ける檜舞台をなんとか現出出来ないか?です。

ですのでインキュベーターの皆様、ベンチャーキャピタルの皆様にもぜひ進んでご参加頂きたいと思っています。11/10は初回のキックオフイベントをやります(ATNDページ)。こぞってご参加下さい!お待ちしています!(あらゆるスタートアップにとって、世界に売り込むチャンスです)

1000人でSXSWへ行こう!まずは東京でキックオフパーティーから

著者プロフィール:

井口尊仁(いぐちたかひと)

 立命館大学文学部哲学科卒。ソーシャルネットの未来に魅了されて株式会社デジタオを1999年に創業。
さらに現実空間のソーシャル化を志向して頓智ドット株式会社を2008年に立ち上げる。
同年9月に「セカイカメラ」のコンセプトをTechCrunch50にて発表、
その一年後に日本にてリリースし、2009年12月には世界77カ国に向けてセカイカメラをローンチ。
未来ビジョンを現実化するための頓智に総てを賭ける毎日。


蛇足:オレはこう思う

今、井口さんにお願いして前回SXSWに参加された方、例えば芸者東京エンターテインメントの田中泰生さんや、ユビキタス・エンタテイメントの清水 亮さんにキックオフパーティーにご登壇いただけないか打診中。それぞれ熱い人たちなので、今回のパーティーもかなり熱くなりそう。楽しみ、楽しみ。

また「海外での出展ってだいじょうぶだろうか。英語も自信がないしな」「会社を説得して出張させてもらうのはいいとして、しっかりとした報告書を作成できるのだろうか。カンファレンス出張の経験もないし」「とにかくできるだけコストをかけないで参加したい」という方のために、TechWaveでは各種支援プログラムを準備中です。4ヶ月間の英語特訓を含む展示者プログラム、事前・帰国後の勉強会で世界の最先端を学び完璧な報告書を作成する一般参加者プログラム、一部屋に数人での雑魚寝、コンビニのサンドイッチでいいから安く行きたい、という人のための格安プログラムの3つのプログラムを準備中です。申し込みお問い合わせは、tsuruaki@gmail.comまで。いずれのプログラムでも最高の結果を得るには、今すぐ動くことが重要です。アワードへの登録は11/18が締め切りですし、SXSWの入場料も11/10に値段が上がります。年が明けてからでは、ホテルの予約さえままならない状況になるそうです。