■女子は中学でサッカーから離れてしまう
なでしこフィーバーの最中、澤穂希が中学女子サッカーの環境整備を訴えていた。 今でも女子はまず少年チームでプレーすることがほとんどだが、中学生になれば話は別だ。女子サッカー部がないために、女子が男子サッカー部に入部しても、身体能力で男子に敵わなくなればやがて肩身は狭くなる。日本サッカー協会は女子が男子の公式戦に出場することを認めているが、実際、積極的に女子を起用する中学の指導者は少ないと聞く。ジュニア年代でサッカーに励んだにもかかわらず、中学で一度サッカーから離れてしまう女子も少なくない。

澤は東京都府中市の少年サッカーチームから中学年代は読売ベレーザ(当時、現在は日テレ・メニーナ―ベレーザ)に入団したが、当時はその他の選択肢がほぼなかった。同じく、なでしこジャパンで現在大学1年生の岩渕真奈も東京都出身だが、彼女が中学生になる7年前ですら状況は変わらなかった。岩渕もメニーナに入団できる実力があり、自宅から何とか通える距離だったことは幸運だったが、もし入団テストに失敗していれば、彼女ですら途方に暮れてしまう可能性があったという。

■中学年代で育むべきは、人間力
日テレ・メニーナの入団テストに落ちてしまい、自宅から毎日2時間以上かけて浦和レッズ・レディースに通う女の子を知っている。現在中学3年生で来春、無事ユース昇格を果たすとの知らせを聞いて安堵したが、この女の子が毎晩帰宅するのは夜23時を過ぎる。

サッカーで勝負するならばそのくらいの負担は当然だ、との反論は間違っている。彼女も含めて、将来なでしこリーグに入団できる保証もなければ、プロになれる選手はさらに限られる。学校の宿題や勉強をこなす時間は確保できているだろうか。育成年代の取材を通じて感じるのは、この年代で育むべきはサッカーの巧さではなく、人間力。それは挨拶や礼儀から始まり、自分で考える力であり、己を律する力を意味する。「サッカーを通じて社会人として生きる術を身につけることが何よりも大切」だと優秀な指導者であれば口を揃える。そのスタンスが結果として大人になっても成長できる選手を生む。

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■著者プロフィール
鈴木康浩

1978年生まれ、栃木県宇都宮市出身。作家事務所を経て独立。現在は栃木SCを軸にJ2からジュニアまで幅広く取材。サッカー小説も手掛ける。「サッカー批評」「週刊サッカーマガジン」「ジュニアサッカーを応援しよう!」などに寄稿している。

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