菅首相がうっちゃりで鳩山前首相をだまし討ちにして逆転勝利か、に見えた不信任案騒動。さらに逆転が起きました。前回コラムで指摘した「交渉構造」を欠いていた首相一派の稚拙な戦術が証明されたといえます。

前回のコラム「交渉をなめるな!菅首相の後出しジャンケンは勝利ではない」が出た時、その逆の「騙された鳩山」「菅、大逆転勝利」「菅と仙石の戦略勝ち」といった報道が踊りました。
http://www.insightnow.jp/article/6588
私は交渉の大原則に反した、「単にYesを言わせたら勝ち」という戦略思考のカケラもない強引な筋引を批判し、交渉として成り立っていないことを指摘しました。

鳩山前首相を始め、小沢派以外の中間派や果ては閣内からすらこのだまし討ちに批判の火が上がり、野党も交えその燎原の火はこの週末で大炎上に拡大しました。
菅首相は交渉に失敗したのです。交渉戦略を描くことが出来ず、詐欺商法まがいの「ハイって言っただろ」合意で押し切れるという浅薄な手法はやはり通じなかったのです。

人の心をつかむこと、それは決してキレイ事ではなく、交渉の基本中の基本なのです。人を騙してサインさせる、ハンコを付かせても、それは交渉成功ではなく、ただの犯罪に過ぎません。さすがに一旦辞めると言っておいて、やっぱりあれは無し、という一般社会ですらあり得な低レベルな「言った言わない」論争に持ち込むという幼稚極まる論法は通用しませんでした。

「論理的に正しい」ことは人を説得する上では欠かせません。しかし人間は理論だけでは動かないのです。ビジネスをしていると、どうしても論理先行で、論理的に正しいのだから通って当然、という心境に陥りがちです。しかし論理的に正しくともそれだけで説得は完了しません。

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