黒田博樹、味のある3勝目|2011年NPBペナントレース

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昨日は1回表に味方が5点取ってくれたが、黒田は立ち上がり躓いた。この試合でポイントとなったのは1番打者の福留だった。

4割を超す打率の福留は、思い切りが良い。だからいい当たりでなくても打球が速くて野手の間を抜く。この日の福留の安打は2本ともクリーンヒットではなかったが、ともに得点に絡む出塁となった。当たっているとはこういうことだろう。

1回、黒田は先頭福留の2塁打で勘が狂わされたようで次のバーニーにも2球目を安打され、3番カストロのエラーでわずか6球で失点。これは乱打戦かと思われたが、そうはならなかった。今の黒田はしっかりしている。4番アラミス・ラミレスに対し、今年から覚えたカーブ(現地ではスライダーと表記)で三振に打ち取って落ちついた。

この日は鋭く落ちるスプリッターが有効だった。多くの打者がくるりくるりと空振りする。この球で完全に立ち直って、3回まで9つのアウトのうち7つを三振でとった。

しかし三振狙いの投球は球数が増える。黒田がクレバーなのは、4回から配球を変えて打たせて取るピッチングにしたことだ。以後降板するまで三振は0。まさに名人芸だ。黒田にとっては珍しくもないが四球は出さなかった。今季は4回先発し33.2回を投げてわずか5四球だ。

いつもは60球を過ぎる頃に息が上がる黒田だが、昨日は70球を過ぎる頃までもった。ただ、7回に入って打ちこまれ、95球で降板した。抜群の出来とは言えなかったが、それでも試合を作ることが出来る。これが黒田の真骨頂だろう。
福留は好調が続いている。ライバルと言われた若手のタイラー・コルビンはこの日も代打で出て初球を打って遊飛。コルビンの打率は.128。このまま4割を維持するのはいくらなんでも無理だが、オールスターまで3割キープ、OPS.900程度でいってほしい。