不仲の2人の表彰式は……
![写真/平岡純 Jun Hiraoka](https://image.news.livedoor.com/newsimage/5/5/55b1cf45444f5bc6df831fe7e9c3d212-m.jpg)
ところで、ミケルソンが最終日に大逆転勝利を得た陰には1人の人物がいた。ミケルソンはプレーオフ4試合のうち3試合は振るわなかった。優勝争いからは6月の全米オープン以来、遠ざかっていた。それもこれもパットの不調が原因。しかし今回はシニア選手でもあるデイブ・ストックトンからアドバイスを受け、幼いころから親しんできたハンドファーストの構えに戻したところ、グッドな感覚が戻った。ストックトンといえば、最近ではミッシェル・ウィーを指導していることでも知られている。そのウィーがサンディエゴの大会(サムソン選手権)に出場した際、一緒に来ていたストックトンにミケルソンのキャディがアプローチをかけ、パットの臨時コーチになってもらったそうだ。「これまで誰もが僕はハンドファーストにしすぎだからスクエアにしろと言った。でも、ずっといい感触が得られなかった。デイブ・ストックトンは僕の元来のハンドファーストを認め、勧めてくれた初めての人だった」。ミケルソンは満面の笑顔だった。
一方、大会で2位に甘んじたタイガーは、10ミリオンを獲得したとはいえ、複雑な表情のままだった。「優勝を目指して敗北したばかりの今日より、たぶん明日のほうがハッピーな気分になれると思う」。今は悔しさのほうがまさっているという意味だ。完璧を目指すタイガーは、最終戦を勝利で飾り、ボーナス10ミリオンもオマケとして持って帰るというシナリオを描いていた。しかし、結果的に持って帰ることができたのはオマケだけになり、どうも納得がいかなかった様子だ。
しかし、10ミリオンなんてビッグなオマケなら、それだけで十分だろう。大会で優勝したミケルソンが優勝賞金135万ドルのほかに手にしたオマケは、大会スポンサーのコカ・コーラから贈られた「コカ・コーラ自動販売機」だったのだから――。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)