「こんな簡単な名簿の入力、中国人に負けるわけないじゃな〜い!」

 日本テレビ系列で毎週水曜日に放送中の人気ドラマ「OLにっぽん」。主人公であるOLの島子(出演/観月ありさ)は、総務部歴9年のベテランだ。冒頭のセリフは、中国から来た研修生の女の子と日本語のパソコン入力でスピードを競い合う場面で島子が思わず口にしたものである。

 しかし勝負の結果は、なんと自信満々の島子がたどたどしい日本語の中国人に完敗してしまう。そして、総務部員はリストラの対象となり、日本人ホワイトカラーの仕事の一部は中国に移管されることに――。

 こんなショッキングな話は、何もドラマの中だけの話ではない。今や「モノづくり」の生産現場だけでなく、人事や総務・経理といったホワイトカラーの仕事を海外にアウトソーシングする日本企業が急増しているのだ。

 ジェトロによると、コールセンターやソフトウエア開発といった従来から海外移管がさかんな業務も含めると、その数はゆうに2500社にも上る。

 目下のところ、これらの業務のアウトソーシング先の大半は、中国の大連である。大連は歴史上、日本との関わりも深く、日本語学科を持つ大学も他地域より多い20ヵ所以上もあるという土地柄。3500社に上る日系企業が進出しており、ローカルスタッフがホワイトカラー的な業務を習得しやすい環境にある。

 ホワイトカラー業務の海外アウトソーシングといえば、これまでIT企業のソフト開発が主流だった。それが「ネイティブ以外にはハードルが高い」と思われていた日本語の入力作業やメールのやりとりまで、中国に移管され始めているというのだ。

 たとえば、通信販売大手のニッセンホールディングスは、その代表的な存在である。

「2000年頃から本社の業務を戦略機能とサービス機能に分け、コストダウンのためにサービス機能を部分的にアウトソーシングする方法を模索して来た。調査を踏まえた結果、昨年から本格的に大連で注文の処理業務を開始した」(市場信行・ニッセン常務)

 同社が年間で受ける注文数は約1400万〜1500万件。このうち約6分の1に当たる200万〜250万件を中国で処理できるようになった。具体的には、関連会社を通じて、百数十人のスタッフが日本からデータで転送された注文ハガキを入力したり、コンタクトセンターにきたメールに日本語で返信したりしている。

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