iPhoneで「世界標準」のショートメール(SMS)を活用する【世界のモバイル】
日本では常識の「携帯電話でメール」も、実は海外の一般ユーザーにはほとんど利用されていない。海外で誰もが利用しているメールサービスはショートメール、SMSである。日本では古い技術と思われがちなSMSだが、実は世界中どこでも利用できる世界標準のシステムなのだ。そしてiPhoneなら、このSMSも楽しく活用できる。
■世界中で利用されているSMS
日本の携帯ユーザーでメールを利用していない人はほとんどいないだろう。音声通話を数日に1度くらいしか利用しなくても、メールは毎日利用するのが今や当たり前だ。この携帯メールにはパケット通信を使うEmail以外にも、携帯電話番号を使って送受信できるSMS、いわゆるショートメールがある。SMSは文字しか書けない、Emailアドレス宛てに送れない、そしてほかのキャリア端末の利用者には送れないなど、不便な古いサービスと考えている人も多いだろう。ましてや絵文字の無いメールなどは使いたくない、という考えも増えているようだ。
しかし日本以外の海外に目を向けてみるとEmailではなくSMSの利用が主流だ。携帯で「わざわざ」Emailを使う一般人は、海外では実は少数派なのである。またビジネス利用者などは会社のメールアカウントをそのまま携帯電話で利用できるBlackBerryなどのサービスを利用する。すなわちわざわざ「ドコモのアドレス」のような、キャリア専用アドレスは一切利用しないのだ。海外で展開中のiモードも「iモードメールが利用できる」ことをウリにはしているが、その人気が高いという話は全く聞かれない。海外iモードの不振も、このように海外でニーズが無いサービスを主力にしているところに一因があるだろう。
一方、海外におけるSMS利用の普及を知るには海外メーカーの端末やiPhoneを見るとわかりやすいだろう。iPhoneは基本的にSMSとPCのメール、すなわち携帯事業者のメールサービスの利用を前提とはしていない。もちろん日本ではSoftbankが「Eメール(i)」を提供しているが、これはiPhoneの標準機能ではない。この機能はSoftbankが日本向けに提供しているものであり、他国のiPhoneユーザーはiPhoneでのメールといえばSMSやPCのEmailをそのまま利用している。もちろん日本の携帯メールは即時に届くというPushメールであるため大変便利だが、SMSも同様に送信と同時に相手に届くPushメッセージなのである。
では海外ではなぜメールではなくSMSなのか。SMSはパケット通信を必要とせず、そしてあらゆる携帯電話で利用可能な基本的なサービスだからなのである。また海外では通信事業者を越えてSMSのやりとりが可能なことも大きな理由だ。日本ではNTTドコモとSoftbank間でショートメールが送れない、といった閉鎖的なサービスではないのだ。そして10年前の超オールド機種と最新携帯電話の間でもSMSでやりとりができてしまう。その上、SMSは携帯電話のアンテナが立てばすぐに配信される。パケット通信を必要としないため、送信の信頼性はSMSのほうが高いのだ。このようにSMSとは「古い、時代遅れの技術」では決してなく、「世界中、誰もが利用できる基本的なサービス」なのである。新しい携帯電話に買い換えなくとも、古い端末でも誰もが利用できる、そしてパケット通信が無くても確実に利用できる。これが世界中でSMSが普及している理由なのだ。
■文字だけのSMSもiPhoneなら楽しい
絵文字も無いSMSは、味気ないつまらないサービスなのだろうか?
海外ならば文字を使った絵文字を使うユーザーも多い。しかしiPhoneに搭載されているSMSアプリを使ってみれば、SMSでも十分楽しく利用できることがわかるはずだ。
iPhoneを利用中にSMSが届けば画面上にポップアップメッセージが表示され、すぐに新着メッセージを読むことができる。そしてSMSの画面を開いてみれば、相手からのメッセージが吹き出しの中に表示されている。これを見ると
「ちょっといい?」といった、相手からの軽い連絡を受けたような気になるのではないだろうか?
なんとなく「ついつい返事をしてしまいたくなる」雰囲気も感じないだろうか?
そしてこちらが返信を書けば、同様に吹き出しの中にメッセージが表示される。SMSのやりとりを続けていくと、メールのやりとりというよりチャットのようであり、リアルタイムでメッセージのやりとりをしているような感覚でメールを受けることができるのだ。
このように絵文字が無くとも、見せ方一つで十分楽しむことができるのがiPhoneに搭載されているSMSアプリの特徴だ。すなわち海外で誰もが利用しているSMSサービスだからこそ、Appleもここまで見た目にこだわったアプリを搭載しているのだろう。なおiPhoneの契約プランはパケット定額のため、SMSを利用しなくとも今までどおりメールを利用しても料金はかからない。でもちょっとした連絡事項とか、相手とちょっとチャットをしたい、なんてときはSMSを利用してみるのもいいのではないだろうか?
■海外旅行中もSMSを活用
国内ケータイのSMSも、海外で上手に活用したいサービスだ。前述したように携帯メールはパケット通信を必要とするため、海外の空港の一部エリアなどでは携帯電波の入りが悪いところでは利用できないこともある。またアンテナマークが立ってもパケット通信がつながりにくい、といったケースもあるのだ。しかしSMSならアンテナマークが1本でも立てば即座に着信できる上、SMSの受信は海外でも無料だ。なお国内キャリアの場合は他の事業者からのSMSを受けることができないが、家族など同じ事業者を利用していれば海外にいるときだけはSMSを送ってもらう、という使い分けもいいだろう。
また海外で知り合った人に「携帯メールを教えてくれ」というと不思議な顔をされることが多いが、これは海外の利用者は、SMSを主に使用しており携帯メールなどは利用していないからだ。
SMSは国を越えての送受信も可能であるため、海外で知り合った人にでも現地で確実にメッセージのやりとりが可能となる。日本では普段利用しないSMSも、自分の携帯電話を海外に持ち出し国際ローミング利用する際には、是非活用してみてはいかがだろう?
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山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」
■世界中で利用されているSMS
日本の携帯ユーザーでメールを利用していない人はほとんどいないだろう。音声通話を数日に1度くらいしか利用しなくても、メールは毎日利用するのが今や当たり前だ。この携帯メールにはパケット通信を使うEmail以外にも、携帯電話番号を使って送受信できるSMS、いわゆるショートメールがある。SMSは文字しか書けない、Emailアドレス宛てに送れない、そしてほかのキャリア端末の利用者には送れないなど、不便な古いサービスと考えている人も多いだろう。ましてや絵文字の無いメールなどは使いたくない、という考えも増えているようだ。
一方、海外におけるSMS利用の普及を知るには海外メーカーの端末やiPhoneを見るとわかりやすいだろう。iPhoneは基本的にSMSとPCのメール、すなわち携帯事業者のメールサービスの利用を前提とはしていない。もちろん日本ではSoftbankが「Eメール(i)」を提供しているが、これはiPhoneの標準機能ではない。この機能はSoftbankが日本向けに提供しているものであり、他国のiPhoneユーザーはiPhoneでのメールといえばSMSやPCのEmailをそのまま利用している。もちろん日本の携帯メールは即時に届くというPushメールであるため大変便利だが、SMSも同様に送信と同時に相手に届くPushメッセージなのである。
では海外ではなぜメールではなくSMSなのか。SMSはパケット通信を必要とせず、そしてあらゆる携帯電話で利用可能な基本的なサービスだからなのである。また海外では通信事業者を越えてSMSのやりとりが可能なことも大きな理由だ。日本ではNTTドコモとSoftbank間でショートメールが送れない、といった閉鎖的なサービスではないのだ。そして10年前の超オールド機種と最新携帯電話の間でもSMSでやりとりができてしまう。その上、SMSは携帯電話のアンテナが立てばすぐに配信される。パケット通信を必要としないため、送信の信頼性はSMSのほうが高いのだ。このようにSMSとは「古い、時代遅れの技術」では決してなく、「世界中、誰もが利用できる基本的なサービス」なのである。新しい携帯電話に買い換えなくとも、古い端末でも誰もが利用できる、そしてパケット通信が無くても確実に利用できる。これが世界中でSMSが普及している理由なのだ。
■文字だけのSMSもiPhoneなら楽しい
絵文字も無いSMSは、味気ないつまらないサービスなのだろうか?
海外ならば文字を使った絵文字を使うユーザーも多い。しかしiPhoneに搭載されているSMSアプリを使ってみれば、SMSでも十分楽しく利用できることがわかるはずだ。
iPhoneを利用中にSMSが届けば画面上にポップアップメッセージが表示され、すぐに新着メッセージを読むことができる。そしてSMSの画面を開いてみれば、相手からのメッセージが吹き出しの中に表示されている。これを見ると
「ちょっといい?」といった、相手からの軽い連絡を受けたような気になるのではないだろうか?
なんとなく「ついつい返事をしてしまいたくなる」雰囲気も感じないだろうか?
そしてこちらが返信を書けば、同様に吹き出しの中にメッセージが表示される。SMSのやりとりを続けていくと、メールのやりとりというよりチャットのようであり、リアルタイムでメッセージのやりとりをしているような感覚でメールを受けることができるのだ。
このように絵文字が無くとも、見せ方一つで十分楽しむことができるのがiPhoneに搭載されているSMSアプリの特徴だ。すなわち海外で誰もが利用しているSMSサービスだからこそ、Appleもここまで見た目にこだわったアプリを搭載しているのだろう。なおiPhoneの契約プランはパケット定額のため、SMSを利用しなくとも今までどおりメールを利用しても料金はかからない。でもちょっとした連絡事項とか、相手とちょっとチャットをしたい、なんてときはSMSを利用してみるのもいいのではないだろうか?
待機中でもSMSが届くとメッセージ内容がポップアップで表示される | 返信も簡単だ。相手のメッセージと自分のメッセージがまるでチャットのように表示される |
■海外旅行中もSMSを活用
国内ケータイのSMSも、海外で上手に活用したいサービスだ。前述したように携帯メールはパケット通信を必要とするため、海外の空港の一部エリアなどでは携帯電波の入りが悪いところでは利用できないこともある。またアンテナマークが立ってもパケット通信がつながりにくい、といったケースもあるのだ。しかしSMSならアンテナマークが1本でも立てば即座に着信できる上、SMSの受信は海外でも無料だ。なお国内キャリアの場合は他の事業者からのSMSを受けることができないが、家族など同じ事業者を利用していれば海外にいるときだけはSMSを送ってもらう、という使い分けもいいだろう。
また海外で知り合った人に「携帯メールを教えてくれ」というと不思議な顔をされることが多いが、これは海外の利用者は、SMSを主に使用しており携帯メールなどは利用していないからだ。
SMSは国を越えての送受信も可能であるため、海外で知り合った人にでも現地で確実にメッセージのやりとりが可能となる。日本では普段利用しないSMSも、自分の携帯電話を海外に持ち出し国際ローミング利用する際には、是非活用してみてはいかがだろう?
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山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」