今田竜二=最終日に順位を上げるパターンが好調の秘訣(写真/田辺安啓=JJ)

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米PGAツアーで自らの今季6戦目となるポッズ選手権に挑んだ今田竜二が2位タイに食い込む大健闘ぶりを披露した。これで今季の今田はビュイック招待2位、ノーザントラストオープン5位タイに続く2度目の2位、3度目のトップ5入りを果たし、フェデックスカップポイントランクは7位、賞金ランクは9位に上昇。すでに獲得賞金総額は117万ドルを突破し、日本円に換算すれば、たった6試合で1億円を突破するというノリノリ状態だ。

だが、不思議なことに今田自身は、決してノリノリ状態のゴルフをしているとは感じていないというから興味深い。「今季好調」となると、普通なら「何が変わったの?」「なぜ、そんなにいいの?」という疑問を抱くものだが、それについても今田自身は「クラブもスイングも何も特別に変えたものはないんですよ」。それなのに、今季の今田は、どうしてこれほど好調なのだろう。その理由を今田と一緒に考えてみた。

「僕は毎年、シーズンの出だしはわりといいから、そういう意味ではいつもの年と変わらない。それで、例年は8月ごろから沈んでいく。だから今年は、とにかく稼げるうちに少しでも稼ごうと思ってシーズンインした」。それでも、例年よりいいスタートを切り、好成績を持続できているわけは、「(米ツアー)4年目にして、やっとこれまでの努力が実り始めてきたのかな」。役に立っているのは、米ツアー経験だけではないだろう。14歳で単身渡米して以来、アメリカ生活16年目にして、長い長い苦労と努力が、今、実り始めたのである。

だが、「ノリノリとは感じていない」というのは、なぜなのか。「2位になれるか、10位で終わるか、その違いは1ラウンドの差なんですよね。ビュイック招待のときも最終日は10位ぐらいからスタートしたけど、67を出せたから一気に2位になれた。ポッズ選手権の最終日もサンドセーブしたり、アップ&ダウン(寄せワン)したり、コツコツ拾ったから2位になれた」。

バーディラッシュの派手なゴルフを続けているわけでは決してない。地道な努力、地道なプレーが、最終的には大きな実りをもたらす――なんとなく、我々の日常の生活にも当てはまりそうな話だ。

毎年、今田は翌年のシード権獲得を第一目標にしているが、その関門をさっさとクリアした今年は、何を目指すのか。「初優勝が目標ですけど、優勝は狙っていって勝てるものではない。地道にやっていれば、チャンスは自然に訪れる」と、あくまでも平常心だ。

それでは、夢はどうだろう?「やっぱり夢はマスターズ出場です」。今年のオーガスタへの切符をつかむためには、マスターズ前週までの4試合で優勝する以外に道はない。残るは4試合。「ちょっと、きついかな」。

そういえば、石川遼の夢は「マスターズで優勝すること」。しかし今田は「いやあ、僕はあくまでマスターズに出ることが夢かな」。今田の夢がかなうのは、果たして今年か、来年か。今後が楽しみな選手だ。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)