丸山大輔=丸山のプレーには、周りの人々が学ぶべきことが多い。(写真/田辺安啓=JJ)

写真拡大 (全5枚)

米PGAツアー最終戦の2日目。初日に2位タイと好発進し、初優勝の期待がかかった今田竜二は2日目はスコアを1つしか伸ばせず、1アンダー71、通算7アンダーで25位タイへ後退した。2連続バーディで幸先のいいスタートを切った今田だが、ラウンド途中から花粉アレルギーが発症。鼻水とくしゃみが止まらなくなり、集中力を乱した。だが、いつもは曲がりがちなティショットが初日同様、今日も安定しており、パットも「こんなもんでしょう」と笑顔で答える程度ゆえ、決して悪くはない。順位としては大きく後退したが、上位陣のスコアは僅差の「団子状態」。決勝2日間で再びスコアを伸ばせば、上位フィニッシュの可能性はまだ残っている。

一方、来季シード権獲得を目指していた丸山大輔は残念な形で予選落ちとなった。1番でいきなりバーディを奪い、7、8、9番と3連続バーディ。前半だけで4打を伸ばし、予選通過ラインの通算3アンダーで後半へ折り返した矢先、10番で悲劇が起こった。この大会は予選2日間がプロアマ形式だが、アマチュアとして出場していた日本人プレーヤーの同伴者(ギャラリー)2人が、なぜか乗用カートに乗って10番ホール脇のカート道をティグラウンド方向へ走ってきた。そして、丸山がバックスウィングを始めた直後、「キーッ」という音を立てながら急ブレーキ。そのままショットした丸山の第1打は大きく左に曲がり、林の中へ。このホールでダブルボギーを叩いた丸山の調子は一気に下降線を辿り、14、17、18番でボギー。1オーバー73、通算2オーバー121位タイで予選落ちとなった。

賞金ランク146位でこの大会に臨んだ丸山。大会終了後、賞金ランク150位以内にとどまればQスクールは最終ステージから挑戦できるが、150位以下だとセカンドステージから挑まなければならない。最終ランクが150位のラインを越えてしまうかどうかは今大会が終わるまでわからない状況だ。今日の10番での出来事は、ある意味、丸山の来季を大きく変えるほどの意味があったわけだが、それでもホールアウトした丸山はカートに乗ってきた日本人ギャラリーを責める言葉を一切発しなかった。「僕がそのまま打ってしまったのがいけなかったんです。スウィングを(途中で)やめれば良かったんだけど……」。烈火のごとく怒り狂い、日本人ギャラリーにその場で怒声を浴びせたキャディのリック・アドコックスは「彼らは謝りもせず、ただ見ていただけだった。ひどい話だ。だけど、それでもダイスケは決して下を向かず、最後まで胸を張って歩き、しっかりプレーした。ダイスケは本当に強い男だ」。

今季を振り返り、後悔はあるかと丸山に尋ねた。「シーズン前半から半ばにかけて調子が悪すぎましたね」。いろいろなことが起こった1年だった。キックオフは決して悪くなかったが、初夏にかけて実母の死に遭遇。悲しみを乗り越えながらの後半はプレーが遅い選手とばかり同組になり、丸山自身のプレーは決して遅くないのにスロープレーの警告を何度も食らう羽目になった。ツアーきってのスロープレーヤー、ベン・クレーンと同組になった先週は、とうとう警告が10回目に到達し、2万ドルの罰金。そして今週、最後の望みをかけた最終戦でカートに邪魔されるアクシデント。それでもなお、ひたむきにゴルフに取り組む丸山には、セカンドステージからにせよ最終ステージからにせよ、Qスクールを突破して戻ってきてほしい。来季も、丸山大輔には米ツアーで戦ってほしい。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)