石炭を扱う企業の初任給は高いのか

写真拡大

   石油・石炭製品を取り扱う企業の初任給が他の業界に比べて高いという。日本経済団体連合会が2007年9月3日に発表した「2007年3月卒 新規学卒者初任給調査結果」によると、産業別にみた初任給(大学卒事務系)は「石油・石炭製品」の24万6000円がトップ。全産業平均を「100」としたとき、石油・石炭製品は「120.0」と突出した。これまではあまり「高給」のイメージがなかった石油・石炭製品だがホントだろうか。

原油高!株高!でも給与高は?

   原油価格は07年に入って急騰している。07年1月に1バレルあたり51.69ドルだったのが、4月に63.97ドルと60ドル台に乗り、7月には69.49ドルまで上昇した。8月は67.38ドルだった。原油価格の高騰で、ガソリン価格も8月には1リットル150円前後に上昇した。

   原油が不足し価格が高騰しても在庫が足りているうちは価格の上昇が業績を押し上げる。つまり、いまが稼ぎどころ、儲けどころであるとはいえるようだ。しかし、原油価格がガソリン価格などに転嫁できなくなると経営状況は一転する。「為替相場の影響も小さくないですし、たしかにいまの業績は悪くありませんが、(株式)相場や業績が好調だからといって気は抜けません」と、新日鉱ホールディングス(HD)の広報担当者は話す。もちろん、初任給も上がるとは限らない。

   ちなみに、石油精製・販売の最大手・新日本石油の初任給は大卒25万円、修士了26万7600円(06年4月実績)。JOMOを経営するジャパンエナジーと日鉱金属を傘下にもつ新日鉱HDの初任給は大卒22万円、修士了24万5000円(同)。昭和シェル石油は大卒25万420円、修士了26万3530円(同)だった。

   新日本石油の初任給がこの水準を適用しているのは04年4月入社の社員から。ちょうど、このころから原油価格が上昇し始めた。とはいえ、「基本的に原油価格と初任給は関係ないですね」(石油連盟)という。

   石油連盟によると、今回の調査は必ずしも業界の給与水準を的確には捉えていないらしい。「調査対象が大手なので、水準が高めです。業界全体としてはもう少し低く、(調査は)実態をあらわしているとはいえません」(広報担当者)。ただ、大手を中心に若年層に手厚くする賃金政策を敷いてきており、それが反映された結果でもあるらしい。