朝鮮総連中央本部の不動産売買問題は2007年6月18日、融資額の全額返還を同総連に命じた東京地裁判決を受け白紙に戻った。元公安調査庁長官と「かつての敵同士」の元日弁連会長という二人の大物2人。それに、実在したかどうかまでが疑われている「資金提供者」や、2人の弁護士を引き合わせたとされる不動産会社元社長にその紹介者も登場。報道も様々で、奇々怪々だ。

   毎日新聞は6月17日の朝刊1面(東京最終版)で、2人の弁護士の仲介役を務めた不動産会社元社長を元公安調査庁長官の緒方重威氏に紹介したのは、「公安調査庁の現職職員だったことが関係者の話で分かった」と報じた。公安調査庁は同17日、「所要の調査を行った限りでは、報道されているような事実は把握されなかった」とコメントを発表した。

「(仲介者)信用できるのか疑いを持った」

   さらに共同通信は6月17日夜、仲介役の不動産会社元社長が1998年に逮捕され刑事裁判で被告になり、この際の弁護などについて、当時すでに検察庁を退官し弁護士登録していた緒方氏が相談を受けていたと報じた。

   一方の登場人物、元日弁連会長の土屋公献氏は、J-CASTニュースがすでに報じた通り

「『慰安婦』問題の立法解決を求める会」会長を務めるなど左派系の「重鎮」だ。18日の会見では、「(資金提供の)投資家」について「極めて信頼に値する」という緒方氏らの言葉で安心していた、とした。また「仲介者」について「電話連絡しても応答がないなど、信用できるのか疑いを持った」

とも話した。

   仲介役の元社長について、複数の新聞が、旧住宅金融専門会社(住専)の大口貸付先の会社を経営していたが、1998年に旧住宅金融債権管理機構の債権回収を免れようとしたとして警視庁に強制執行妨害などの疑いで逮捕された、と報じている。

   98年には、旧住専絡みの似た構図の別々の事件で、複数の不動産会社社長らが逮捕され、社長の年齢が近い例もあったため、ネット上では、今回の仲介役について、パチンコ業関係に影響力があった人物や華僑関係者の名前が挙がっている。ある強制執行妨害事件の裁判を担当した「人権派」「死刑反対派」として著名な弁護士が関係しているのでは、という憶測も飛び出し、なぞは深まるばかりだ。