子供の「漢字書き取り苦手」 テレビが原因かでバトル勃発
小学生たちが漢字の書き取りが苦手なのはテレビの影響か――。日本教育技術学会が2007年5月7日に発表した子供たちの漢字習得状況調査の結果を巡り、ちょっとした論争になっている。「テレビっ子は漢字が苦手?」などと報じる新聞に対し、テレビのワイドショーなどが「いつもテレビが悪者になる」と反発しているからだ。
3年生から3時間以上テレビを見る子供が増える
調査は、小学校教師や大学教授らでつくる同学会が、全国の公立小中学校の延べ約3万8,000人を対象に2004年春に調べた。子供たちは、漢字の読みは得意だが書き取りが苦手、という結果が出た。背景分析の中でテレビの視聴時間も調査した。3時間以上テレビを見る子供は全学年で平均点が低く、1時間以下の子供の平均より200点満点で50点以上も低い学年もあった。「解説」として、3年生から3時間以上テレビを見る子供が増えることに触れ、「長時間視聴層と短時間視聴層との間で『書き』の得点差が開き始める」とだけ分析している。
調査結果を新聞各社は8日付けで報じた。地方紙を中心にテレビの視聴時間と漢字能力に相関関係があるのでは、という見出しが多く見られた。日経新聞は「漢字『書き方』苦手/テレビ視聴が影響か」と見出しをたて、学会のテレビ視聴時間と平均点に関する点に触れた。東京新聞も「テレビっ子は漢字が苦手?長時間視聴、正答率低く」と報じた。記事ではやはり同学会調査の視聴時間と平均点の関係を紹介している。ほかにも「テレビっ子は漢字が苦手?長時間視聴、正答率低く」の見出しで中国新聞や熊本日日新聞、西日本新聞などが報じている。
「新聞を3時間以上読むと何かの数字が下がらないかな」
これに対して、8日8時のフジテレビ系「とくダネ!」の冒頭、キャスターの小倉智昭さんは不満をあらわにした。この問題に関する日本経済新聞の報道を紹介し、「いつもテレビが悪者になるんですか、3時間も勉強しないなら野球でもピアノでも似たような数字になるんじゃないか。新聞はこういう風に書きたいんだよ、新聞を3時間以上読むと何かの数字が下がらないかな」と皮肉った。意見を求められたコメンテーターの竹田圭吾さんは「テレビは関係ない。家族との会話の中で読み書きを覚える。テレビを見なくてもそうした時間にそれができるかが問題だ」と指摘した。
もっとも、読売、朝日、毎日新聞は、見出しでも記事でもテレビについて触れていなかった。
同学会はどう考えているのか。J-CASTニュースの取材に対し、同会事務局長の明石要一・千葉大教育学部教授は「テレビが悪い訳じゃありませんよ」と答えた。
明石教授によると、要は生活習慣の問題だ。テレビを見なくてもゲームなどに時間を割けば勉強しない点では同じだ。しかし、長時間テレビを見ると答えた子供は、見たい番組を見るというよりだらだらテレビのそばにいる傾向がある。みたいテレビは見る、終わればゲームなり勉強なりをする、という切り替えができるかどうかが本質的な問題だ、という見方だ。