かろうじて雨中の大一番を制した広島イレブン。3年ぶりのACL本戦進出を決めた。(C)Getty Images

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 薄氷を踏むような戦いぶりで、なんとか本戦に辿り着いた。

 2月19日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフが開催され、サンフレッチェ広島は本拠地にチェンライFC(タイ)を迎え、一発勝負に臨んだ。終始主導権を握ってチャンスを掴みながらも、広島は前半にあったPKを外すなどなかなか均衡を破れない。0-0のまま延長戦を終え、かろうじてPK戦を4-3でモノにした。3年ぶりのACLグループリーグ参戦である。

 とはいえ、広島サイドにしてみれば釈然としないだろう。延長後半の119分、パトリックのゴールが“幻”と消えていたからだ。

 柴粼晃誠が放ったシュートが相手DFにディフレクトし、ゴール前のパトリックの元へ。ブラジル人エースがこれを難なく押し込んだが、オフサイドとジャッジされてノーゴールとなったのだ。だがこれがかなり微妙なタイミング。納得がいかない広島の選手たちが副審を取り囲んだが、結局判定は覆らなかった。

 このシーンを大きく取り上げたのが、世界的ネットワーク『Fox Sports』アジア版だ。「広島は何度もゴールを奪うチャンスがありながら決め切れず、みずからゲームを難しくした」と評しつつ、「ただあのゴールが認められなかったのは誤りだ。パトリックは間違いなくオンサイドだった」と論じた。「見よ! これがオフサイドだろうか? 明らかな誤審である」と記し、問題の場面を動画付きで紹介している。

 
 同メディアはさらにPK戦をレポート。「チェンライにとって波乱を起こす千載一遇のビッグチャンスだったが、経験値で上回る広島が落ち着いてこれを制した」と伝えた。もしPK戦で敗れていたら……。バーレーン人審判団だっただけに、またしても“中東の笛”と波紋を広げたかもしれない。

 不格好でもJリーグ勢の意地を見せ、川崎フロンターレ、浦和レッズ、鹿島アントラーズとともに本戦に駒を進めた広島。グループFでは広州恒大(中国)、大邱FC(韓国)、そして本田圭佑を擁するメルボルン・ヴィクトリー(豪州)と同居することとなった。