映画『一吻定情』が公開初日で興行収入9000万人民元(約14億6500万円)を突破して大ヒットになっている。この映画の原作は、日本で連載された多田かおる氏の少女マンガ『イタズラなKiss』だ。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国では春節映画の盛り上がりに続き、バレンタインデーに公開されたラブコメ映画『一吻定情(原題)』が大ヒットしている。この映画の原作は、1990年代に日本で連載された多田かおる氏の少女マンガ『イタズラなKiss』。原作ストーリーの大筋は、落ちこぼれの女の子・琴子が、一目惚れした天才少年・直樹に告白するもあっけなく振られてしまう、しかしひょんなことから彼の家に居候することになり――というものである。

 中国メディアの国際在線(CRI・中国国際放送)は15日、映画『一吻定情』が公開初日で興行収入9000万人民元(約14億6500万円)を突破したと伝えた。記事は、「春節映画は男性の観客が多数を占めていたが、この甘いラブストーリーがその状況を変えた」とし、映画を評するキーワードは「甜(甘い)」のほかに「真香(うまい)」であると述べた。「真香(ジェンシャン)」は本来、中国北方の人が「うまい・美味しい」の意味で用いる表現だ。しかし、最近ではネットユーザーの間で、ある種のスラングとして大流行している。

 元ネタとなったのは、都会と田舎の子どもを1週間入れかえるという中国のドキュメンタリー番組。この番組の中で、田舎暮らしの状況に嫌気がさした都会の少年が、「飢え死にしたっておまえらの作る飯なんか一口も食うもんか!」と怒鳴った直後、「うまい!(真香)」と幸せそうに食べている映像に切り替わる場面がある。それがネタ化されて流行語となったのが「真香」だ。

 中国版『イタズラなKiss』の評価を見ると、映画館に行く前は期待していなかったが、実際に観てみると思いがけず感動した、という人が多かったようだ。記事は、映画を観て「真香」してしまった女性たちのコメントを紹介しつつ、「この映画は多くの観客の中にある少女の心を動かした」と述べた。

 『イタズラなKiss』は、これまで日本はもちろんのこと、台湾、韓国、タイなどでもテレビドラマ化されている。初恋の相手を一途に追いかけるという王道のラブコメは、国や年代をこえて多くの女性の心を動かすのだろう。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)