就活スタイル編集部

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就職活動やインターンシップの第一関門であるエントリーシート。面接などの選考に進むためには、まずこのエントリーシートを突破する必要があります。しかし、いざエントリーシートを書こうと思っても「どのように書けばいいのか、書き方がわからない」「書いてみたはいいものの、なかなか通過しない」などと戸惑う就活生は多いでしょう。面接官や採用担当者に響くエントリーシートを作成するためには、きちんと基本の書き方やマナーを知っておくことが重要です。

今回は就活キャリアアドバイザーとして、朝日新聞デジタルの「朝デジ就活ナビ」にて連載「篠原流 就活スタイル」を受け持つ篠原さんに、エントリーシートの書き方の基本や、なかなかエントリーシートが通らないときの改善方法をお伺いしました。

エントリーシートとは? エントリーシートの書き方の基本


エントリーシートとは、企業が独自に作成した選考のための書類のこと。面接をできる人数には限りがありますから、採用担当者はエントリーシートに書かれた内容をもとに、次のステップに進める学生を選別していきます。代表的な質問は「自己PR」「志望動機」「学生時代に頑張ったこと」「困難を乗り越えた経験」「入社後に携わりたい仕事」「最近気になるニュース」などですが、なかにはその企業ならではの変わった質問をされることも。志望者全員に同じ質問をするので、学生同士の比較もしやすくなるんですよね。

では、面接官に「会いたい」と思わせるエントリーシートを書くにはどうしたらいいのでしょう。まず、エントリーシートの基本から確認です。

基本

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・丁寧な文字で書かれていて、誤字脱字がない
・指定がなければ原則手書き。黒か青のボールペンを使用
・手書きの場合は、詰め込み過ぎず空きすぎず、読みやすいレイアウトで
・文字数指定がある場合は、指定文字数に合わせて書く(400字なら395〜400字で)
・企業の指定する方法で、締め切りまでに提出する

次に、会いたい!と思わせるエントリーシートを書くコツです。

会いたい!と思わせるエントリーシートを書くコツ

1行目が勝負。結論ファーストで

→人気企業だと、1枚当たり10秒程度で合否が判断されることも。つまり1行目で読み手を引き付けることが大切です。

わかりやすい文章で簡潔に書かれている

→一文は50〜70文字を目処に、短めの文章をつないでいきましょう。その際、接続詞の多用には注意。逆説の接続詞以外は省略してしまっても文意は通じることが多いです。文章を短くすれば、主語述語のねじれ防止にもつながります。

具体的な数字やエピソードが入っている

→アピールしたいことと、それを立証するエピソードはセットで書きましょう。

上位10%での通過を目指す

→エントリーシートは、通過したら終わりではなく、最終面接までずっとついてくるものです。面接の質問もエントリーシートからされることが多いです。私の経験上、上位10%でエントリーシート通過できると、その後の選考も有利に進められる確率がグッとアップします。

手書きエントリーシートに修正テープを使うのはアリ? 消せるペンを使ってもよい?


エントリーシートに修正テープを使うのはOK?

一昔前は、手書きのエントリーシートがほとんどでしたが、ここ3年ほどでWEB経由で提出するエントリーシートが一気に増えました。2018年卒の人気企業約230社のエントリーシートを調査したところ、なんと7割以上がWEB エントリーシートでした。採用担当者にとって、見やすさや管理のしやすさが手書きのエントリーシートよりよいのかもしれません。皆さんにとっても、何度も書き直せて、コピー&ペーストもできて、短時間で作成可能なWEB エントリーシートは便利ですよね。慣れてしまうと、紙のエントリーシートは大変と感じる人が多いのもわかります。

さて、紙のエントリーシート作成中に書き間違えてしまった時、修正テープを使うのはアリ? という質問ですが、答えは、NO! 修正テープを使ったら必ず落ちるということはありませんが、エントリーシートは企業に自分を評価してもらうための“最重要書類”。修正テープなどは使わず、完璧な状態のものを用意しましょう。ようやく全部書き上げた! という時に誤字脱字を見つけたら。「一カ所だけだし修正テープを使いたい……」と思う気持ちもわかりますが、そこはグッと耐えて、もう一度書き直しましょう。

「消せるペン」を使ってエントリーシートを書くのはOK?

修正テープがダメなら、消せるペンを使えばいいんじゃない? と思った人はいませんか。エントリーシートは正式書類ですから、消せるペンで書いてはいけません。消せるペンを販売している文具メーカーのWEBサイトの該当商品には、「証書類・宛名など消えてはいけないものには使用しないでください」という内容の注意がしっかりと書かれています。同様に、面接の交通費をいただいた際の領収書や内定承諾のサインに消せるペンを使うのもNGですから、気をつけてください。

手書きエントリーシートで思い出すのは、2018年4月にJALに入社したMさんのエントリーシート。初めてエントリーシートを見せてもらった時、私、感激したんです。丁寧な文字で、詰め込みすぎず、改行の場所にも気を配っていて、とても読みやすく書かれていました。読んでくださる人の立場に立って、心を込めて一文字一文字丁寧に書かれているのが、一目でわかりました。Mさんに聞くと、納得のいくエントリーシートを仕上げるために清書だけで30回以上したそうです。「常にお相手の立場に立って考えられる」という自分の長所をエントリーシートでも伝えたかったと。さすがです。

WEB エントリーシートに比べると、手書きエントリーシートはちょっと大変だけれど、WEB全盛の時代にあえて手書きエントリーシートにこだわる会社にも、何かしらの思いや考えがあるのでしょう。志望企業への思いや熱意を文字に乗せて、全力で書いてみてください!

エントリーシートの通過率が悪い……どうすれば改善できる?

先日、こんな質問をいただきました。「エントリーシートの通過率が悪く、悩んでいます」というお悩みです。たしかに、この時期にエントリーシートの通過率が悪いと焦りますよね。

エントリーシートの完成度を高めるおすすめは「添削を受けること」

エントリーシートの完成度を高めるためにやるべきことはたくさんあるのですが、一番おすすめしたいのは、書き上げたエントリーシートをいろいろな人に添削してもらうこと。大学のキャリアセンターやゼミの先生、先輩内定者、アルバイト先の先輩や友人、知人、それから就活エージェントの添削サービスを使うのも手です。人に見てもらうことで、自分一人で書いていたときには気づかなかったことをアドバイスしてもらえると思います。私がこう言うと、「エントリーシートを見せるのが恥ずかしい」という人がたまにいますが、ちょっと待って。人に見せるのが恥ずかしいようなエントリーシートを志望企業の採用担当者に見せるほうがずっと恥ずかしいです! 勇気を出して、添削してもらいましょう。

エントリーシート添削をしてもらってよかったという内定者の声をいくつかご紹介しますね。

内定者の声

自分の伝えたいことが全く伝わっていないことに気づいた

エアラインのCA(キャビンアテンダント)内定者や3年間一緒に働いたアルバイト先の先輩、航空業界のことを全く知らない男性の友人、顔見知り程度の知人などいろいろな立場の人にエントリーシートを見てもらいました。すると、例えば部活のエピソードについて、「部活名が書いていないからわからない」「カフェのバイトってどこのこと?」などの指摘が。肝心な言葉が抜けていたり、表現がわかりにくかったりして、自分の言いたいことが伝わっていないことに気づきました。(エアライン(CA)、メガバンク内定Cさん)

エントリーシートを書いたらLINEで共有。親友たちと助け合った

大学の親友2人とエントリーシートを書くたびに写真を撮ってLINEにあげ、読み合っていました。エントリーシートを他人に読んでもらうと直すべきところがわかってよかったです。私のことをよく知っている人に見てもらうと、私が言いたいことを言語化してくれたり、「あのネタのほうが面白いよ」とアドバイスをもらえたりして、とても助けられました!(エアライン(総合職)、ホテル、運輸内定Yさん)

英語は得意だけど……日本語力が弱いことに気づいた

インターンシップのエントリーシートが全く通過せず、このままではまずいと思い、大学の先輩に見てもらいました。すると、「全然意味がわからない! 日本語がおかしい」と厳しいコメントが。高校は国際科で、大学も国際教養学部。さらに就活直前まで留学していたこともあって日本語力が弱すぎたんだと思います。そこで、朝日新聞の天声人語を読んで文章力を上げる努力をしました。何度も何度もエントリーシートを書き直した結果、本選考のエントリーシートで落とされることはほとんどありませんでした。(メーカー、大手インターネット内定Kさん)

自分がおもしろいと思うことと、人がおもしろいと思うことは違った

自分がいいと思うことと、人がいいと思うことは違います。人に見てもらうことで新たな気づきがあるはずです。私はエントリーシートを現役社員の方、内定者、マスコミ志望の友人、全くマスコミに関係ない社会人の方など、15人以上の方々に見てもらいました。自分のエントリーシートを見てもらうのは少し恥ずかしいですし、否定されたときのショックは大きいですが、やってよかったです。(マスコミ内定Hさん)


締め切りまでに書き上げるだけでも大変かもしれませんが、通過しないのであれば何か手を打たなければ前には進みません。時間をやりくりして勇気を出して、人にエントリーシートを見てもらうようにしましょう。

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プロフィール:篠原真喜子(朝日新聞社 就活キャリアアドバイザー)

2003年入社。自身の就活経験を生かして、2004年に「朝日就職フェア」を立ち上げる。以降、同フェアの企画・MCとして活躍。雑誌「CanCam」「エアステージ」の就活特集にも「就活のプロ」として登場。就活キャリアアドバイザーとしてサポートした学生はのべ5万人。



▼朝日新聞デジタル連載コラム「篠原流 就活スタイル」
https://www.asahi.com/shukatsunavi/column/shukatsustyle/
▼朝デジ就活ナビ
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